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神奈川県 その3   
はなしの名どころ
蝦夷錦故郷之家土産(あらすじ)
名人くらべ(あらすじ)
荻の若葉(あらすじ)
熱海土産温泉利書(あらすじ)
敵討霞初島(あらすじ)
これより金子へかゝり、曾屋から名古木へ出まして善波峠へかゝり、かの大山街道の伊勢原へ出て來まして、これから糟谷、林村、及川という處より荻野へ出ます、六つ倉から橋元村などといふ處へ出れば、もう八王子は近いことで
 (「熱海土産温泉利書」)
  鈴木行三編,『圓朝全集』 第七巻,春陽堂(1926)
 
地点名 出典と登場回数 位 置 備 考 写真と撮影年
橋本 はしもと 熱海 全2件1題 相模原市緑区橋本 「熱海土産温泉利書」の八王子のしるべを訪ねるルートを,東京に近い橋本から逆にたどる.県境の元橋本あたりは,駅前と違って多少街道らしいところがあった.
"これから糟谷、林村、及川という所より荻野へ出ます、六つ倉から橋元村などという所へ出れば、もう八王子は近いことで"(熱海土産温泉利書)
両国橋 2002
棚村 たなむら 熱海 全1件1題 相模原市中央区田名 田名(たな).高田橋際には鮎供養塔が建つ.
"この船が大磯へ着き、とうとう厚木街道から六ツ倉、棚村へ出まして、八王子へ着きました"(熱海土産温泉利書)
相模川より田名を望む 1997
六ツ倉 むつくら 熱海 全1件1題 愛甲郡愛川町中津 六倉(むつくら).工業団地の上六倉バス停から徒歩.このあたりまで来ると静かでよい雰囲気だった.六倉は八王子行きの2回の道中付けの両方に出てくる.
"この船が大磯へ着き、とうとう厚木街道から六ツ倉、棚村へ出まして、八王子へ着きました"(熱海土産温泉利書)
六倉坂 1997
荻野 おぎの 熱海 全1件1題 厚木市下荻野など 六ツ倉の手前.下荻野には山中藩陣屋跡がある.
"これから糟谷、林村、及川という所より荻野へ出ます、六つ倉から橋元村などという所へ出れば、もう八王子は近いことで"(熱海土産温泉利書)
荻野新宿交差点 1997
及川 おぶかわ 熱海 全1件1題 厚木市及川 及川(おいがわ).引き続き道中付け.林の先で,荻野へ続く.富士塚ぐらいしか見るところがなかった.
"かの大山街道の伊勢原へ出て来まして、これから糟谷、林村、及川という所より荻野へ出ます、六つ倉から橋元村"(熱海土産温泉利書)
及川バス停 1997
はやし 熱海 全1件1題 厚木市林 道標には,"南かすや北おぎの道"とある.道中付けでは次は及川となる.
"かの大山街道の伊勢原へ出て来まして、これから糟谷、林村、及川という所より荻野へ出ます、六つ倉から橋元村"(熱海土産温泉利書)
林交差点の道標 1997
厚木 あつぎ 初島 全1件1題 厚木市 ここだけは「熱海土産温泉利書」の道中ではなく,偽作の「敵討霞初島」に出てくる地名.厚木を通る設定では,ルート取りに無理がある.
"怖いも恐ろしいも夢中で、すたすたと歩きまして翌日は厚木へ泊まりまして、その夕方にようよう八王子へ着きました"(敵討霞初島)
厚木神社あたり 1997
糟谷 かすや 熱海 全1件1題 伊勢原市下糟屋あたり 糟屋(かすや).「熱海土産温泉利書」での小田原から八王子への道中付け.伊勢原の先,林へと続く.
"かの大山街道の伊勢原へ出て来まして、これから糟谷、林村、及川という所より荻野へ出ます、六つ倉から橋元村"(熱海土産温泉利書)
糟屋下宿バス停付近 1997
伊勢原 いせはら 熱海 全1件1題 伊勢原市 伊勢原大神宮は伊勢原の地名の由来という.内宮外宮が並び立つ.今も伊勢原は,大山登山の拠点になっている.
"曾屋から名古木へ出まして善波峠へかかり、かの大山街道の伊勢原へ出て来まして、これから糟谷、林村、及川という所より荻野へ出ます"(熱海土産温泉利書)
伊勢原大神宮 2002
大山来迎谷 おおやまらいこうたに 骨董屋 全1件1題 伊勢原市大山 大山登山道,二十丁目富士見台のところと,さらに登った二十六丁目のところに来迎谷の説明があった.富士見台の方は西への眺望がよく,浮世絵にも描かれたとある.二十六丁目の方は頂上に近く,木々に覆われた尾根道で南東方向が谷筋.
"これは余り珍しいから七百円にて求めたが、大山来迎谷の大天狗の鼻屎だ"(骨董屋)
大山来迎谷 2011
善波峠 ぜんはとうげ 熱海 全1件1題 伊勢原市〜秦野市 秦野市の名古木から伊勢原市の善波へ抜ける峠.ほとんどの車は新しいトンネルを通行するため,旧道トンネルはちょっと怖い雰囲気.ここを抜けるとラブホテルが並ぶ.峠を縦走するハイキングコースもある.
"曾屋から名古木へ出まして善波峠へかかり、かの大山街道の伊勢原へ出て来まして、これから糟谷、林村、及川という所より荻野へ出ます"(熱海土産温泉利書)
善波トンネル 1997
名古木 なごのき 熱海 全1件1題 秦野市名古木 善波峠の西側.本文ルビは"なごのき"だが,"ながぬき"と唱える.
"これより金子へかかり、曾屋から名古木へ出まして善波峠へかかり、かの大山街道の伊勢原へ出て来まして"(熱海土産温泉利書)
名古木バス停 1997
曽屋 そや 熱海 全1件1題 秦野市 現在の秦野市.「熱海土産温泉利書」での小田原から八王子への道中付け.名古木へ続く.
"これより金子へかかり、曾屋から名古木へ出まして善波峠へかかり、かの大山街道の伊勢原へ出て来まして"(熱海土産温泉利書)
     
大磯 おおいそ 熱海, 蝦夷錦, 皿山, 星野屋 (他 東京21件) 全26件23題 中郡大磯町 圓朝物よりむしろ落語「能祇法師」の印象が強い.鴫立庵は,西行の代表歌,"心なき身にもあはれは知られけり鴫立つ沢の秋の夕暮"にちなむ.大磯と言えば,曾我五郎の恋人虎御前の出生地でもある.虎御前の墓や,延台寺には十郎の身代わりになったという虎が石がある.大磯の虎が悲しむ姿を思う,虎が雨という言い回しもあった.鴫立庵(拝観有料)の法虎堂には,新吉原が奉納したと伝えられる虎御前の僧形の像が収められる庵室のほか,戸田茂睡の石碑など多数が所狭しとならんでいる.
"それは大磯の虎が寝巻きだか、何と珍物でござろう"(滑稽三題噺,青木嵩山堂 (1908))
鴫立庵虎御前像 2012
相模灘 さがみなだ 初島 全1件1題   "御案内の通り熱海という所は前は相模灘へつづきました渺々たる海で、向こうは初島がこんもりと幽かに見えます"(敵討霞初島)      
国府津 こうづ 名人く (他 東京12件) 全13件10題 小田原市国府津 国府津は列車旅の噺で多く登場する.急勾配の旧東海道線のために,機関車のつけ替えをする交通要衝だった.開業記念碑のレリーフでも,汽車が力強く煙を吹きだしている.
"只今の旅のように汽車で参りまして、国府津から下りて、あれから鉄道馬車に乗って小田原に着き、小田原から俥を誂えて人力で参るというような訳にはまいりません"(名人くらべ)
国府津駅開業100周年記念碑 2009
曽我山 そがやま 蝦夷錦 全1件1題 小田原市 食用のための梅林が広がる.コンビニでも,おにぎりを買ったら梅干しをサービスしてくれた.
"この庭の一枚石は八畳敷もあって、これを先代が曾我山から曳いた時には、二千人も掛かって山から下ろした石"(蝦夷錦故郷之家土産)
曽我梅林 2001
山田 やまだ 蝦夷錦, 蝦夷な 全2件2題 足柄上郡大井町山田 「蝦夷錦古郷之家土産」の主人公のお録が向かった曾根家のある地.上大井駅からハイキングコースの案内にしたがって来ればよい.
"ようやくに泊まり泊まりを重ねて相州足柄上郡へ乗り込んで、山田村へ参って曾根惣右衛門の宅へ行って、伯母へ面会を致し"(蝦夷錦故郷之家土産)
山田村の水車 2003
山田:曽根惣右衛門 そねそうえもん   足柄上郡大井町山田 曾根家本家は天神の斜め向かい.今は畑地で,分家がそばにある.
"手前の伯母は相州足柄郡山田村の曾根惣右衛門という者の家内で、この惣右衛門というものは音に響いた大尽で、金に菌が生えるという位"(蝦夷錦故郷之家土産)
曽根家跡 2000
天神社 てんじんしゃ 蝦夷錦 全1件1題 足柄上郡大井町山田 曾根家から目と鼻の先にある.右側の建物が神楽堂.
"そこの五,六段石坂の上に大門がありまして天神の社と小さい神楽堂が有ります"(蝦夷錦故郷之家土産)
天神社 2003
天神社:神楽堂 かぐらどう 蝦夷錦 全1件1題 足柄上郡大井町山田 前項の写真のように,神楽堂も実在する.
"そこの五,六段石坂の上に大門がありまして天神の社と小さい神楽堂が有ります"(蝦夷錦故郷之家土産)
     
天神社:石塚 いしづか 蝦夷錦 全1件1題 足柄上郡大井町山田 本文通り,"堅牢地神尊天"の文字が読み取れる.圓朝の実地調査は,実に正確なもの.寛政9(1797)年建.
"山田村をなだれに下りて、また上がろうとすると、右の方に大きな自然石があります。その面に堅牢地神尊天と彫り付けてある"(蝦夷錦故郷之家土産)
天神社の石碑 2003
了義寺 りょうぎじ 蝦夷錦, 蝦夷な 全2件2題 足柄上郡大井町山田1193 臨済宗了義寺.山号は飛瀧山が正しい.本文にある観海師は二十三世(墓石台座は二十二世),1881(明治14)年没.
"飛龍山了義寺の観海和尚という大知識が仲人となって村に家を持った"(蝦夷錦故郷之家土産)
観海和尚墓 2003
了義寺:万霊燈 ばんれいとう 蝦夷錦 全1件1題 足柄上郡大井町山田1193 了義寺内に現存.文字は「萬靈等」.文化12(1815)年建.
"山手の方へなだれに上がってゆくと、大門があります。右の方には萬霊燈があり、左の方には観音塚がある"(蝦夷錦故郷之家土産)
萬霊等碑 2003
了義寺:観音塚 かんのんづか 蝦夷錦 全1件1題 足柄上郡大井町山田1193 石段下の左手は駐車場.萬霊等碑の左手には1体の観音碑があった.
"山手の方へなだれに上がってゆくと、大門があります。右の方には萬霊燈があり、左の方には観音塚がある"(蝦夷錦故郷之家土産)
     
了義寺:弁天堂 べんてんどう 蝦夷錦 全1件1題 足柄上郡大井町山田1193 了義寺内に現存する.
"またこれから小坂を登ると正面が本堂で、右の方の蔭に弁天堂があって、その脇にちょろちょろと滝が流れており"(蝦夷錦故郷之家土産)
了義寺弁天堂 2003
了義寺:滝 たき 蝦夷錦 全1件1題 足柄上郡大井町山田1193 弁天堂の池の裏手にある.
"またこれから小坂を登ると正面が本堂で、右の方の蔭に弁天堂があって、その脇にちょろちょろと滝が流れており"(蝦夷錦故郷之家土産)
了義寺の滝 2003
了義寺:曽根家墓所 そねけぼしょ   足柄上郡大井町山田1193 曾根家は了義寺の維持に貢献しただけでなく,付近の道路整備などに尽くした.文政4(1821)年没の曾根惣右衛門善治墓などがならぶ.
"左の山手の方には墓所がございまして、松の木があって小高い所に立派な石塔があるのは曾根惣右衛門の家の代々の墓所でございます"(蝦夷錦故郷之家土産)
曽根家墓所 2003
金子 かねこ 熱海 全1件1題 足柄上郡大井町金子 「熱海土産温泉利書」での小田原から八王子への道中付け.曽屋へ続く.この山手には,要塞のようなビルがそびえている.第一生命の本社だったが,撤退したという.
"とうとう箱根の関を越して小田原へまいり、これより金子へかかり、曾屋から名古木へ出まして善波峠へかかり"(熱海土産温泉利書)
金子を望む 2000
上大井 かみおおい 蝦夷錦 全1件1題 足柄上郡大井町上大井 大井町はひょうたん祭りに力をいれている.上大井の方には,JR東海の駅がある.駅舎にもヒョウタンがぶら下がっていた.
"飯泉観音から成田村へ出て、下大井、上大井を通って、これから山田村へ参ります"(蝦夷錦故郷之家土産)
JR 上大井駅 2000
下大井 しもおおい 蝦夷錦 全1件1題 小田原市下大井 「蝦夷錦古郷之家土産」での小田原から山田への道中付け.こちらには駅がなく,バス停を訪問した.
"飯泉観音から成田村へ出て、下大井、上大井を通って、これから山田村へ参ります"(蝦夷錦故郷之家土産)
下大井バス停 2000
成田 なるた 蝦夷錦 全1件1題 小田原市成田 「蝦夷錦古郷之家土産」での小田原から山田への道中付け.飯泉観音の先,下大井の手前.
"酒匂の上流を渡りまして、飯泉観音から成田村へ出て、下大井、上大井を通って"(蝦夷錦故郷之家土産)
成田バス停 2001
飯泉観音 いいずみかんのん 蝦夷錦 (他 東京1件) 全2件2題 小田原市飯泉1143 真言宗勝福寺.坂東三十三ヶ所第5番.堂内欄間を浮遊する天女のご面相がかわいい.古寺に追い詰められた狸が,へんてこな天人に化ける「狸の化寺」を思い出す.
"酒匂の上流を渡りまして、飯泉観音から成田村へ出て、下大井、上大井を通って"(蝦夷錦故郷之家土産)
飯泉観音堂天人の舞 2013
酒匂川 さかわがわ 蝦夷錦 (他 東京1件) 全2件2題 神奈川県 「蝦夷錦古郷之家土産」の道中では東海道で小田原へ渡り,再び飯泉で左岸へ戻るという遠回りをする.写真は飯泉側をわたるところ.
"相州足柄上郡山田村へ参るには、酒匂の手前からはいるという事を知りませんから、小田原まで来て聞きます"(蝦夷錦故郷之家土産)
酒匂川 2013
小田原 おだわら 熱海, 蝦夷錦, 長二, 鶴殺 など (他 東京100件, 上方2件) 全112件49題 小田原市 小田原では,陳外郎(ういろう)を祖とする透頂香という丸薬を販売している.口直しのういろうは,名古屋ではなく,この小田原が本家.歌舞伎十八番「外郎売」の早口の言い立てでも知られる.回ってきた回ってきた.その効能は,胸腹痛・渋腹・胃痛・食中毒・霍乱・胃痙攣・消化不良・下痢・吐瀉・水中・癪痞・溜飲・悪心嘔吐・食欲不振・急性慢性胃腸炎・諸毒消・便秘・蟲積症・胃回虫症・肝臓・悪阻・酒の悪酔・宿酔・舟車・乗物の酔・眩暈・気鬱・疲労・気付・感冒・息切・咳・痰のつかえ・気管支炎・頭痛・駆風・暑寒中・日射病・高山病・心臓病・心悸亢進・心臓補強・強壮・発声過度・声の嗄れ・咽頭炎・身体違和感・口内炎・歯痛・牛馬家畜諸種の疾患・伝染病予防・其他急病に用いて良効ありと,ホホ敬って申す.
"所は相州小田原にて、お高は十一万三千〇二十九石余というそろばんの勘定みたいなお高で、大久保加賀守様と申しまして"(熱海土産温泉利書)
ういろうの透頂香 2011
小田原:青物町 あおものちょう 蝦夷錦 全1件1題 小田原市本町2,浜町3 青物町交差点から北へのびる甲州路に沿う.北は一丁田町.
"小田原まで来て聞きますると、青物町の所から北へ廻れということでございますから、酒匂の上流を渡りまして"(蝦夷錦故郷之家土産)
青物町町名碑 2000
小田原:大久寺 たいきゅうじ 熱海, 初島 全2件2題 小田原市城山4 日蓮宗寳聚山大久寺.徳川家康の家臣,大久保忠世の開基にかかり,その名を寺名に残す.箱根登山鉄道の車窓からもよく見える.
"私が小田原の大久寺という法華寺へゆきまして、用部屋の衆が囲炉裏のはたで話をしていたのを聞きかじって、うっかりお浜さんに話いしたァだ"(熱海土産温泉利書)
大久寺 大久保一族墓 2003
早川 はやかわ 熱海 (他 東京1件) 全2件2題 小田原市早川 駅裏手の山上には秀吉が張りぼてで作り上げて,北条勢を驚嘆させた一夜城があり,野面積の石垣が残る.残念ながら早川駅からは見えない.小田原から一駅なのに自動改札なしの委託駅だった.
"早川から石橋山へかかり、米上を通って根府川峠と越し、江浦、吉沢、紋川なぞというえらい所ばかり通って、遂に伊豆山の峠手前までに三つ峠があります"(熱海土産温泉利書)
早川駅 2011
石橋山 いしばしやま 熱海, 初島 (他 東京6件, 上方1件) 全9件6題 小田原市石橋 治承4(1180)年,源頼朝が平家討伐に挙兵した古戦場.伊東祐親らに敗れ,安房へ敗走した.与一塚,ねじり畑などがある.
"早川から石橋山へかかり、米上を通って根府川峠と越し、江浦、吉沢、紋川なぞというえらい所ばかり通って、遂に伊豆山の峠手前までに三つ峠があります"(熱海土産温泉利書)
石橋山古戦場 1997
米上 こめかみ 熱海 全1件1題 小田原市米神 米神(こめかみ).「熱海土産温泉利書」での小田原から熱海への道中付け.鉄道駅がないせいか,バス利用者が多い.
"早川から石橋山へかかり、米上を通って根府川峠と越し、江浦、吉沢、紋川なぞというえらい所ばかり通って、遂に伊豆山の峠手前までに三つ峠があります"(熱海土産温泉利書)
米神バス停 1997
根府川 ねぶかわ 初島 全1件1題 小田原市根府川 「熱海土産温泉利書」の道中付けでは次項の根府川峠として出てくる.根府川駅は,小田原からわずか二駅なのになんと無人駅だった.
"石橋山の麓を通りまして、根府川、それお庭の飛石なぞになさいます平ッたい薄い石の出ます所で、江浦、吉浜なぞと申す所は、海を前に見晴らしまして景色のよい所で"(敵討霞初島)
根府川あたり 1997
根府川峠 ねぶかわとうげ 熱海, 名人く 全2件2題 小田原市根府川 特定できないが,根府川の先の山道,写真あたりを指すのだろう.
"早川から石橋山へかかり、米上を通って根府川峠と越し、江浦、吉沢、紋川なぞというえらい所ばかり通って、遂に伊豆山の峠手前までに三つ峠があります"(熱海土産温泉利書)
根府川峠か 1997
江浦 えのうら 熱海, 長二, 初島 全3件3題 小田原市江之浦 「熱海土産温泉利書」の道中付けでは吉浜の手前.漁港がある.真鶴の小松石やこの根府川石など,銘石の産地.板状に割れる輝石安山岩で,庭の飛石などに使われるという.
"早川から石橋山へかかり、米上を通って根府川峠と越し、江浦、吉沢、紋川なぞというえらい所ばかり通って、遂に伊豆山の峠手前までに三つ峠があります"(熱海土産温泉利書)
根府川石 1997
中沢 なかざわ 名人く 全1件1題 小田原市江之浦赤沢か 不明.赤沢が近い音.「荻の若葉」の長阪と同じところを指すのかもしれない.1972年に廃止された国鉄赤沢トンネルは,写真のように海側に穴が開いていて外の景色がながめられた.バス停八貫山下が最寄り.
"かの伊豆の根府川峠の恐ろしい所を越し、中沢を越え、福浦の手前でございますけれども、どこといって休む所がない"(名人くらべ)
赤沢隧道を見上げる 2011
長阪峠 ながさかとうげ 荻の若葉 全1件1題 足柄下郡真鶴町岩か 「荻の若葉」で,湯河原に隠居した師匠の家までの描写で,"長崎峠"としても出てくる.長坂山のことだろう.長坂山トンネルは国鉄東海道線のトンネルだった.敷地入口に立入禁止の看板があり,中に保線員がいては,トンネル口に銘板があるかを確認することすらできなかった.中を抜けると前項の赤沢トンネルにまで至るという.真鶴駅からバス,終点岩からすぐ.
"現今では吉浜の新道ができまして長阪峠を越すのは易いが旧道は道が悪うございます"(荻の若葉)
長坂山隧道西口 2011
真鶴 まなづる 荻の若葉 (他 東京1件) 全2件2題 足柄下郡真鶴町 舞鶴とあるのは真鶴の誤り.写真は城山山頂から見下ろしたもので,師匠の家に設定している福浦あたりからではよく見えない.
"前には吉浜の海岸が見えてこっちに舞鶴の岬が見える好い景色の所で"(荻の若葉)
真鶴岬 2000
真鶴港 まなづるみなと 長二 全1件1題 足柄下郡真鶴町東部の港湾 石橋山で敗れた源頼朝が,ここから安房へ逃れた.一時,身を潜めた鵐(しとど)の窟は,写真右手の崖下にある.
"城堀村にある実平の城山は、真鶴港から上陸して、吉浜を四五丁まいると向うに見えます"(指物師名人長二)
真鶴港を望む 2011
福浦 ふくうら 名人く, 荻の若葉 全2件2題 足柄下郡湯河原町福浦 荻江露友の師匠の隠居先.浜手の崖地にある子の神神社境内には,またぐと子が授かるという美女石がある.
"師匠は伊豆の吉浜の手前福浦という所があって、往来から北の方へ三町ばかりはいりました所に逼塞をして"(名人くらべ)
子授け美女石 2000
吉浜 よしはま 熱海, 名人く, 長二 など 全6件5題 足柄下郡湯河原町吉浜 小田原から熱海・湯河原への道中付け.「熱海土産温泉利書」では吉沢とあるものを吉浜に統一した.
"前申し上げる通り伊豆の吉浜までと申してはその頃では長旅でございます"(名人くらべ)
吉浜を望む 2000
紋川 もんがわ 熱海 全1件1題 足柄下郡湯河原町門川 門川.「熱海土産温泉利書」の道中付けでは吉浜の先."もがわ"とも読むらしい.
"早川から石橋山へかかり、米上を通って根府川峠と越し、江浦、吉沢、紋川なぞというえらい所ばかり通って、遂に伊豆山の峠手前までに三つ峠があります"(熱海土産温泉利書)
門川バス停 2000

掲載 030904/最終更新 201201

   表の項目の説明

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