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荻の若葉   
−おぎのわかば−

 角川版の圓朝全集には載っていない.駸々堂から明治23年に出版された.「名人くらべ」の前半部である3代目荻江露友誕生の物語で,「名人くらべ」に載っているものと全く同じ筋立て.「荻の若葉」の方が描写や会話がずっと多く,こちらを「名人くらべ」に抜粋したのだろう.

 大あらすじ
 荻江露友に預けられた美声の少年伊三郎は,次第に評判を得るが,師は襲名をゆるさない.恋の悩みを乗り越え,伊豆に逼塞した師から芸の妙所を感得する.
 多摩川の鮎取り
 文化10(1813)年,深川の豪商,近江屋の一行が月見をかねて多摩川へ鮎取り−滑稽いろいろ−帰りに元深川芸者のお梅に会い,美声の少年,伊三郎を貰いうけ,露友の弟子に  
 板挟み
 1828年,松平家の求めに応じて伊三郎が荻江の節付け−評判を取るが,出過ぎたまねをしたと師匠の露友が怒る−露友,娘のお又に堅気の婿取りを奨め,外出−留守中に黒装束の一団が現れ,伊三郎を連行−実は近江屋の茶番−深川芸者の小藤と引き合わせる.深い仲となる−小藤に縁談.お又病気で露友,伊豆に逼塞する−伊三郎も病気のお又のために手切れを決意
 荻江の奥義
 近江屋と伊三郎,伊豆にひきこもった露友宅を探しあて,中をのぞく−お又の病がつのり,露友,荻江節の妙所を披露する.これを聴いた伊三郎,芸の奥義を体得する−3代目荻江露友を襲名へ  
 はなしの人びと
吾妻屋金八 あづまやきんぱち   小間物屋.鮎漁.
うめ (1747-) 元深川の芸者.伊三の祖母がわり.
近江屋喜左衛門 おうみやきざえもん (1777-) 深川の豪商.露友の世話.小藤を取り持つ.
荻江伊三郎 おぎえいさぶろう (1802-) 幼名伊三.3代目露友許される.
荻江露友 おぎえろゆう (1762-) 二代目荻江露友.伊豆に逼塞.
河島 かわしま (1879-) 小藤を後妻に取ろうとする.登場しない.
小梅 こうめ   伊三郎の母.失踪.
小藤 こふじ (1808-) 深川の芸者.伊三郎あきらめ,旦那をとる.
寿楽 じゅらく   幇間.鮎漁.
藤屋長兵衛 ふじやちょうべえ (1772-) 小藤の父.悩んだ末,小藤と伊三郎を別れさせる.
また (1810-) 露友(2)の娘.伊三郎に恋心.
都一兼 みやこいちかね   一中節.鮎漁.

掲載 090101/最終更新 140701

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