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蝦夷錦故郷之家土産   
−えぞにしきこきょうのいえづと−

 やまと新聞連載後,1888年に出版.身分差別社会を否定し,北海道に理想の新天地を求めるストーリー.中込重明は,英仏戦争を舞台にした『欧州奇談 夢の暁』という話と酷似しており,原典はわからないが翻案物であろうと指摘している.天狗党の乱を慶応元年としているので,生没年が1年ずれているかもしれない.

 大あらすじ
 小屋者と駆け落ちしたお録,女郎から看護婦になる.死んだと思った金持ちの娘になりすましたが,本物が現れてしまう.窮地のお録を救った信夫と北海道へ.
 安政の大震災
 安政2(1855)年10月,安政大地震.護持院ヶ原で遭難した御用達の娘,お録を小屋者の喜三郎が助ける−名前を告げず別れる/1857年,浄心寺の開帳で喜三郎,お録を見つける−お録と恋仲/このことが小屋頭の重助に顕れるが,お録と何とか添わせるとの言葉−喜三郎,自分が小屋者とお録に告げ,別れを迫るが,お録は離れない−2人は駆け落ち−重助,島村家と談判(その後の記述はなし)
護持院ヶ原あと
 天狗党の乱
 1858年,洗馬宿で喜三郎病に−お録,身売りをして助けようとするが,喜三郎死亡−1863年,玉村宿の主の好意で,客の言葉にしたがい,筑波の同愛社の看護婦になる−慶応元年(1865)年7月,天狗党の乱(1964年が正しい)で筑波山は内戦状態.癪で苦しむお桂を助ける.お桂は相州の金持ちの娘−お桂,天狗党が撃った大砲が着弾して死亡−お録,お桂の体から証拠の品を奪い,相州山田村へ行ってお桂になりすます−お桂,医師榊原養庵により蘇生

筑波寺具原
 山田村のにせ者
 お桂,お録を追って相州へ.乞食の姿でようやく伯母を訪ねたが追い返される−了義寺の信夫を頼るが,話を聞いても半信半疑−信夫と伯母の留守にお桂,お録と対面−お桂,お録をなじり打ちすえる−お録,一転してお桂をにせ者呼ばわり−信夫ら戻る−お桂,捕らえられる−お録,この姿を見て真実を白状−信夫,小屋者と知りながらお録を女房にする.村の者は相手にしない−信夫,そんな社会制度に嫌気がさし,理想の地を求め,夫婦で北海道へ
山田村了義寺

 はなしの足あと
 江戸市中は,発端部の護持院ヶ原(千代田区)での喜三郎とお録との出会い.駆け落ちに怒った重助が三河町の島村家へ談判する場面が出てくる.1)2人は中仙道を駆け落ちし,途中塩尻峠あたりの道中が少し出る.喜三郎は洗馬で死亡.2)遊女となったお録は本山から玉村宿へと移ってゆく.3)玉村で紹介された高道祖村の病院へ舞台が移ってからは,筑波山麓の描写が詳しい.4)お桂に化けたお録が山田村を訪ねる.山田村と了義寺の説明が詳しい.5)その後を追うお桂の道中付けが,小田原から山田まで出てくる.
 はなしの人びと
綾川信夫 あやがわのぶお (1837-) 信之進の次男.幼名信次郎.出家し信浄.
綾川信之進 あやがわのぶのしん   大久保出雲守家来.
石井文左衛門 いしいぶんざえもん   高祖道村観音院の主人.
大畠外記 おおはたげき (1825-1879.02.04) 天狗党.お録を誰何.後に室田信平と改名.お嘉代を養育.
金田金次郎 かねだきんじろう (1842-) 後に松之助.金次郎といった時代,玉村でお録に観音院のことを紹介.
観海 かんかい   了義寺和尚.
喜三郎 きさぶろう (1832-1858.05.02) 前半の主人公.小屋者.お録と駆け落ちして死亡.
けい   お録に救われる.山田村の伯母宅で,自分になりすましたお録と対決.
榊原養庵 さかきばらようあん (1828-) 観音院の医師.
沢辺作弥 さわべさくや   作右衛門の次男.お録に恋慕.
島村孝兵衛 しまむらこうべえ   御用達.お録の兄.
重助 じゅうすけ   谷中の小屋頭.
曽根惣右衛門 そねそうえもん (-1863) 山田村の大尽.
高山元貞 たかやまげんてい (-1865.05.26) お桂の父.医師.
たけ (1839-) 重助の娘.
田丸稲之右衛門 たまるいなのえもん   他にも多数の水戸天狗党浪士.
ろく (1841-) 主人公.御用達,島村の娘.本山宿では飯盛女,小玉.

掲載 090101/最終更新 100805

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