HOME >> 圓朝地名図譜 >> prev 兵庫県 next
兵庫県   
はなしの名どころ
有馬土産千代の若松(あらすじ)
蛭「……昔神武天皇が長髓彦を御征討の時、僕は攝州西の宮に隱居をして居ました、身體が思ふ樣に利かないから、乃で退屈凌ぎに漁獵をして樂しんで居ると……」
 (「七福神參り」)
  鈴木行三編,『圓朝全集』 第十三巻,春陽堂( (1928))
 
地点名 出典と登場回数 位 置 備 考 写真と撮影年
播磨 はりま 札所, 鶴殺 など (他 東京17件, 上方13件) 全34件20題 兵庫県 旧国名.兵庫県南部,須磨から西にあたる.落語では,摂津播磨の境の境川という地名も登場する.
"駅路を重ねまして十二月五日播州某の城下へ着いたし"(鶴殺疾刃庖刀)
     
篠山 ささやま お里 (講明治大正6:55, 青圓生14:01) (他 東京6件, 上方7件) 全15件8題 丹波篠山市 「お里の伝」の原作では"丹波の奥山"とあるだけで篠山とは言っていない.丹波篠山山家の猿が……デカンショデカンショで半年暮らす♪.
"此の人はね、国は丹波の篠山で、猪(しし)や熊と一緒に誕生したんだよ"(孝女お里)
デカンショ節民謡碑 2004
相野 あいの 有馬土産 全1件1題 三田市 「円朝全集」の別巻に,圓朝演とされる新聞小説「有馬土産千代の若松」が新しく収録された.そこに,有馬温泉周辺の地名がどっさり登場する.有馬で誘拐した女を相野の隠れ家に連れ去る場面.三田市の相野は,有馬から南東の方角ではなく,北西の方角にあたる.山中に盗賊の隠れ家がある設定なので,三田市の相野でよさそう.
"此処より辰巳の方角で相野と云へる山坂道"(有馬土産千代の若松)
相野の山へ 2018
有馬の富士 ありまのふじ 有馬土産 全1件1題 三田市 有馬富士.有馬温泉の北方約14キロにある標高374mの小さい山.形がよいためだろうか,名所案内記にも描かれている.高いビルのなかった時代は,温泉街からよく見えたはず.有馬温泉からは見えないため,射場山の山腹にある稲荷神社に登ったところ,ようやく姿を見ることができた.
"有馬の富士の夫ならで素顔は夏の芙蓉峯"(有馬土産千代の若松)
有馬富士 2018
伊丹 いたみ 皿山 (他 東京11件, 上方7件) 全19件11題 伊丹市 圓朝ものではいずれの項も実際の舞台ではない.落語でも「長者番付」,伊丹のこぼれ梅など酒造関連が多い.
"武骨な松蔭や秋田屋がお酌をいたしましては、池田伊丹の銘酒も地酒程にも飲めんようなことで"(菊模様皿山奇談)
伊丹の酒蔵 1999
西宮 にしのみや 七福神参り, 文晁 (他 東京2件, 上方9件) 全13件9題 西宮市 巻頭文のように,西宮の恵比寿神が登場.大練塀は国重文.
"昔神武天皇が長髄彦を御征討の時、僕は摂州西の宮に隠居をしていました、身体が思う様に利かないから、そこで退屈凌ぎに漁猟をして楽しんでいると"(七福神参り)
西宮神社南門と大練塀 2006
なだ 福禄寿(青圓生14:19) (他 東京69件, 上方24件) 全94件39題 神戸市灘区,東灘区など 圓朝演では出てこない.今津,西宮,魚崎,御影,西郷が灘五郷.灘の生一本に対して,江戸にやってきた下り酒は,水増しされて,"村さめ"になっていたりしたとか.
"これは灘の生一本でめったに手にはいらない結構なお酒ですから"(福禄寿)
     
兜山 かぶとやま 話之種 神戸市兵庫区都由乃町 甲山(かぶとやま).西宮市街の北にぽっこりと目立つ山.標高309m.ただし,「話之種」のエピソードは,六甲山系の北側に位置する山田村のことなので,実際は六甲山を意図しているのかもしれない.
"萩原中納言之娘 兜山の裏なる山村に"(話之種)
甲山 2020
有馬 ありま 熱海, 有馬土産 (他 東京5件, 上方8件) 全14件10題 神戸市北区有馬町 落語では「有馬小便」で登場する温泉地だが,「有馬土産千代の若松」には.有馬の地名が数件,新しく登場した.塩分の高い高温の湯が湧いており,今も御所泉源,天神泉源,妬(うわなり)泉源にみることができる.空気に触れて鉄分が沈殿する茶褐色のお湯が特色.有馬土産は,ぴょこっと飛び出す人形筆,竹細工に炭酸煎餅.
"どうも具合のええことな、有馬の湯とは違うて、それに有馬はぬるすぎて、また景色がこう面白うない"(熱海土産温泉利書)
有馬名物人形筆 2003
有馬:一の湯二の湯 いちのゆにのゆ 有馬土産 全1件1題 神戸市北区有馬町 かつて有馬温泉は宿へ引き湯をしておらず,南側にある宿用の一の湯と北側の二の湯に別れて入湯した.位置的には,共同浴場の金の湯の北の広場あたりになる.現在は,共同浴場の金の湯の中に一の湯(男湯)と二の湯(女湯)を設けている.金の湯の前には,有馬町の道路元標が置かれていた.
"一の〔湯〕二の湯の湯女達は暮湯を仕舞ひ帰り道"(有馬土産千代の若松)
有馬道路元標 2018
有馬:御所坊 ごしょぼう 有馬土産 全1件1題 神戸市北区有馬町858 有馬温泉街の入口にある老舗旅館.創業は鎌倉時代までさかのぼるというから驚き.現在の場所に移ってからも400年が経つ.木造建築を守っており,谷崎潤一郎や吉川英治も滞在した.今は浴客は共同浴場まで行かず,各旅館に引き湯した温泉に入る.御所坊では,次第に湯が深くなる通路を抜けると,半混浴の湯殿が広がっており,金色の湯があふれていた.
"貴君方は御所坊にお泊りのお方ではござりませぬか"(有馬土産千代の若松)
御所坊浴場入口 2018
有馬:若狭屋 わかさや 有馬土産 全1件1題 神戸市北区有馬町829 有馬温泉の二十坊の一つ.有馬温泉街入口に面した木造三階建てのお土産屋が若松屋と称している.古い地図と比較しても同じ場所なので,ここのことだろう.
"コレ若狭屋の嬶々さん(若狭屋は浴宿の名)"(有馬土産千代の若松)
若狭屋 2018
有馬:奥の坊 おくのぼう 有馬土産 全1件1題 神戸市北区有馬町1206 有馬温泉の二十坊の一つ.2013年以降長期休業中.敷地周りも鉄板で囲われてしまっていた.池之坊も長期休業,二階坊は御所坊に吸収されている.
"貴君は奥の坊においでなさるお方様"(有馬土産千代の若松)
奥の坊 2018
有馬:禰宜屋 ねぎや 有馬土産 全1件1題 神戸市北区有馬町1537 有馬温泉の二十坊の一つ.ねぎや陵楓閣の名前で,駅南の高台に移転して営業中.
"エエ禰宜屋の嬶アはん(禰宜屋も宿の名)何言はんす"(有馬土産千代の若松)
ねぎや陵楓閣 2018
有馬:温泉寺 おんせんじ 有馬土産 全1件1題 神戸市北区有馬町1643 真言宗温泉寺.行基の開創.温泉街南西の高台に位置する.明治維新でいったん廃寺になって黄檗宗として再興した.本堂の北にはちゃんと鐘楼があった.
"早太陽も西に傾き温泉寺の鐘の声山に響きて"(有馬土産千代の若松)
温泉寺 2018
有馬:鉄炮水 てっぽうすい 有馬土産 全1件1題 神戸市北区有馬町 温泉街を北に登ったところに炭酸泉源があり,蛇口から流れる水を飲むことができる.炭酸よりも,鉄分の金気を強く感じる.この泡立つ水を鉄砲水と呼び,これを原料としたサイダーがつくられていた.今も,てっぽう水サイダーが売られている.
"是まつや この鉄炮水の奇麗な事はいな ちょっとマア御覧よ"(有馬土産千代の若松)
てっぽう水サイダー 2018
神戸 こうべ 三題噺, 有馬土産(他 東京43件, 上方23件) 全67件53題 神戸市 圓朝ものでは登場回数が少ない.落語では,東京から神戸までの急行列車のあがり(五人廻し)等々,こまごまと登場する.
"なんでも洋行と決心いたして神戸の親類へまいって相談をすると"(めくらの洋行・地獄の飛脚・乳母の女郎買い)
神戸遠景 2004
兵庫 ひょうご 名人く (他 東京17件, 上方23件) 全41件12題 神戸市兵庫区 落語では,「宿屋仇」,「兵庫船」,屏風を好む兵庫の坊さん.戦争で供出された大仏さんのお顔は,もともとはもっとエキゾチックだった.
"正宗は中々ありませんよ、兵庫の安継だの正宗だのというものは中々ありません、刀は正宗、差添は浪の平行安と、浄瑠璃の文句にはありますが"(名人くらべ)
兵庫大仏 2003
福原 ふくわら 有馬土産 (他 東京5件, 上方4件) 全9件7題 神戸市兵庫区福原町あたり 平清盛の福原の都,北には雪の御所があり,湊山小学校庭南に碑がある.福原の名を貰って,明治期に遊廓が新設された.圓朝作品に登場するのは,こちらの方.新開地の東,南北に柳筋と桜筋が通っている.今は文教地区なのか,女学園が移転してきたりしている.
"駕籠に乗せつつ神戸なる福原辺の旅店に至り"(有馬土産千代の若松)
福原柳筋 2021
須磨 すま 鶴殺 (他 東京4件, 上方13件) 全18件12題 神戸市須磨区 落語ではもちろん「須磨の浦風」につきる.須磨浦公園に建つ芭蕉句碑,"蝸牛角ふりわけよ須磨明石"は境川での句.
"かの汐汲と申すものは在原の行平が須磨へ島流しになって、松風村雨など申す怪しき賤の女と契りしという随分世にたわけたことである"(鶴殺疾刃庖刀)
芭蕉句碑 2003
山田 やまだ 話之種 神戸市北区山田町 「話之種」という取材メモに,山田に伝わる栗花落(つゆ)の伝説が記されている.栗花落の井戸は,神戸電鉄箕谷駅からバスに乗って谷寺口下車.進んですぐの小道を右に入ると,案内が見つかる.弁天堂の拝殿下に井戸のくぼみがある.栗花落氏の子孫が建てた説明板も備えてあって,素晴らしい史跡になっている.山田(栗花落)左衛門尉真勝が白滝姫に恋し,地元の山田に連れ帰ったが,子をなした後に白滝姫は亡くなってしまう.弁財天の社を建てて,白滝姫を祀った.その井戸は,栗の花の落ちる5月になると,毎年水をたたえた.圓朝の記した歌とは,わずかながら違っている.水無月の稲葉の末もこかるるに山田に落ちよ白瀧の水(真勝から白滝姫へ),雲たにもかからぬ峰の白瀧をさのみな恋ひそ山田をの子よ(白滝姫から真勝へ).
"雲だにもかからぬ峯の白滝にさのみな恋ぞ山田おのこよ"(話之種)
栗花落の井 2020
書写山 しょしゃさん 有馬土産 (他 東京4件, 上方7件) 全11件5題 姫路市書写2968 書写山円教寺.西国三十三ヶ所第27番札所.「こぶ弁慶」の終盤,弁慶の生い立ちのセリフで登場する.
"暫くの間播州姫路領なる書写山の麓に潜伏なして居たりしが"(有馬土産千代の若松)
円教寺奥の院開山堂 1999
姫路 ひめじ 有馬土産 (他 東京13件, 上方13件) 全26件12題 姫路市 姫路と言えば,お菊の幽霊が風邪を引く「皿屋敷」の舞台.圓朝作品では,「有馬土産千代の若松」にチラリと出てくるだけ.撮影地の名古山霊園の展望台は,姫路城十景の1つ.名誉えい地に姫路出身の三代目桂米朝の墓がある.上から見ると"米"の字の石の配置.奥の2つに四季の俳句が刻まれている.
"暫くの間播州姫路領なる書写山の麓に潜伏なして居たりしが"(有馬土産千代の若松)
姫路城を望む 2017
赤穂 あこう お里 (他 東京16件, 上方3件) 全22件13題 赤穂市 「お里の伝」は貞享4(1687)〜宝永2(1705)年の噺で,話中赤穂浪士討ち入りの報に接する.写真は,赤穂花岳寺にあった赤穂浪士引き上げの場面.
"播州赤穂の城主浅野内匠頭の家来五十人ばかりの浪人が、吉良さまのお邸へ昨夜乱入いたしました次第をご覧じろ"(操競女学校-お里の伝)
両国橋赤穂浪士引き上げ 2016

掲載 031030/最終更新 210501

   表の項目の説明

HOME >> 圓朝地名図譜 >> prev 兵庫県 next