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神奈川県 その3   
圓朝地名図譜
あゝ、あれかい?箱根山てえのは、噂(はなし)にゃ聞いてたがなあ、眼のあたり見たのははじめてだなあ、へェェ、やはり箱根山とくるとずいぶん厚みがあるなあ
 (柳家小さん(5) 「三人旅」)
  飯島友治編,『古典落語』 第三巻,筑摩書房(1968)
 
地点名 この1題・登場回数 位 置 備 考 写真と撮影年月
入生田 笠と赤い風車(毎日三百年3:14) など 2件1題 (東京2件) 小田原市入生田 入生田(いりうだ)の紹太寺は巨刹だったが,明治期に焼けて寺は丘下の子院に移った.大久保家の後の小田原藩主稲葉家の墓が山の上にある.
"新しい笠を、買ってかぶって、入生田から、山崎、三枚橋"(笠と赤い風車)
紹太寺稲葉氏歴代墓 0109
山崎 笠と赤い風車(青正蔵1:22) など 2件1題 (東京2件) 足柄下郡箱根町湯本 山崎古戦場とあるが,明治維新の官軍と浪士の衝突のこと.
"新しい笠を、買ってかぶって、入生田から、山崎、三枚橋"(笠と赤い風車)
山崎ノ古戦場碑 0109
三枚橋 笠と赤い風車(青正蔵1:22) など 3件2題 (東京3件) 足柄下郡箱根町湯本 東海道,湯本への入口.川は早川.
"新しい笠を、買ってかぶって、入生田から、山崎、三枚橋"(笠と赤い風車)
三枚橋 0307
箱根七湯 義太夫がたり(講明治大正7:38) など 5件3題 (圓朝1件, 東京4件) 足柄下郡箱根町 箱根に点在する7つの名湯をめぐる贅沢な遊山.個別名としては湯本,木賀しか出てこない.残りは,堂ヶ島,底倉,宮ノ下,芦の湯.堂ヶ島入口には圓朝のしのぶ碑があった.
"小田原へ出て箱根の七湯へ廻りましょう"(義太夫がたり)
     
湯本 絵手紙(偕成少年11:12) など 6件5題 (圓朝2件, 東京4件) 足柄下郡箱根町湯本 箱根七湯の一.ここからが箱根"登山"鉄道の本領,3回のスイッチバックに80‰の急勾配.土木遺産と近代産業遺産に認定されている.
"横浜で汽車をおりると(中略)湯本あたりの温泉宿で一泊となる"(絵手紙)
箱根登山鉄道箱根湯本駅 1311
塔之沢 箱根山(講昭和戦前6:24) など 4件4題 (東京4件) 足柄下郡箱根町塔之沢 箱根七湯の一.写真の環翠楼は元湯を名乗り,古木を使った重厚な建築.「浮れ小僧」(『爆笑漫才と落語集』,春江堂(1939))に登場.
"何を言ってるんだ。箱根山だよ。甲羅だの棒の沢なんて、そんなとこへ行くんじゃアない"(箱根山)
塔之沢温泉 環翠楼 9902
堂ヶ島   足柄下郡箱根町宮ノ下 箱根七湯の一.具体名としては登場しない.谷底にあり,自家用ケーブルで降りる. 堂ヶ島温泉 9902
宮ノ下 三十三年目の喧嘩(東峰今輔:08) など 3件3題 (東京3件) 足柄下郡箱根町宮ノ下 箱根七湯の一.奥にあるのが外国人に重用された富士屋ホテル.
"あれは箱根だったな。宮の下へ行ったときですヨ。紅葉が見ごろでネ"(三十三年目の喧嘩)
宮ノ下バス停 9902
木賀 汐留の蜆売り(弘文志ん生1:11) など 3件2題 (圓朝1件, 東京2件) 足柄下郡箱根町木賀 箱根七湯の一.旅館は数軒しかない.
"箱根の木賀の湯治場の、亀屋という家でもって"(汐留の蜆売り)
木賀温泉 9902
底倉   足柄下郡箱根町小涌谷 箱根七湯の一.具体名としては登場しない.早川沿い.太閤石風呂は秀吉が入浴したと言われる川底の湯壺. 底倉温泉太閤石風呂 9902
芦の湯 小間物屋政談(青圓生12:08) など 3件1題 (東京3件) 足柄下郡箱根町芦之湯 箱根七湯の一.豊富な湯量を保つ硫黄泉.写真は獅子文六の『箱根山』執筆にちなむ碑.
"てまえは生来病身でございますが、箱根の蘆の湯がたいそういいというので"(小間物屋政談)
松坂屋獅子文六文学碑 0109
箱根 無筆の女房(講明治大正3:19) など 102件70題 (圓朝13件, 東京74件, 上方15件) 足柄下郡箱根町 箱根山中では「盃の殿様」が大名と盃のやりとり.初花は,「箱根霊験躄仇討」の主人公.夫婦で敵討に出るが,夫の勝五郎はもはや歩けない.妻の初花は,滝に打たれ,箱根権現に祈願する.哀れ,初花は返り討ちにあうが,霊験により夫は本懐をとげる."紅葉のあるのに雪が降る"が有名なセリフ.初花の像を収める初花堂と飯沼勝五郎・初花の比翼塚は須雲川の鎖雲寺にある.地図にある初花の滝は,遠くから望めるという.
"江の島から鎌倉を見物して箱根の湯治場に参りまして"(無筆の女房)
初花像 1311
箱根山 箱根山(講昭和戦前6:24) など 83件41題 (圓朝2件, 東京71件, 上方10件) 足柄下郡箱根町 "箱根八里は馬でも越すがこすに越されぬ大井川".「三人旅」でもおなじみの馬子唄."箱根山駕籠に乗る人かつぐ人,そのまた草鞋をつくる人"だと「夢金」の熊蔵.歌碑は芦ノ湖手前の旧街道沿いにある.新作「箱根山」は,ぜいたくは敵だの時代に生まれたのだが,戦後の成金家族に置きかわっても笑えること受けあい.
"アレッ、皆な箱根山てえと考えやがる。昔からある箱根山だよ。この頃なくなったか"(箱根山)
箱根八里歌碑 0109
曽我の五郎の手玉石 とろゝん(講明治大正7:26) 1件1題 (東京1件) 足柄下郡箱根町か 速記本文に"手玉石"とあるが,見つからなかった.曽我の五郎鑓突石は湯本の正眼寺内.
"箱根山にも名所がござる、曾我の五郎の手玉石"(とろゝん)
曽我の五郎鑓突石 0307
箱根旧道 義太夫がたり(講明治大正7:38) 1件1題 (東京1件) 足柄下郡箱根町 三枚橋から先に石畳が何ヶ所か残っている.ハイカーの数は半端じゃない.甘酒茶屋から元箱根までがお勧め.
"箱根の旧道を下がって三島の明神様へお参りをして"(義太夫がたり)
箱根旧街道石畳 1311
甘酒茶屋 盃の殿様(騒人名作06:08) など 4件1題 (東京4件) 足柄下郡箱根町畑宿 何軒か甘酒を売る店があったがこの1軒が残った.青黄粉の力餅も名物.「神崎与五郎の詫証文」の舞台.
"箱根へ掛かりますと、彼の甘酒を売る婆の、四五丁手前にて、いずれの諸公か存じませんが、お供先をば"(盃の殿様)
甘酒茶屋 0109
箱根の関所 三人旅(筑摩古典03:03) など 13件10題 (圓朝4件, 東京9件) 足柄下郡箱根町箱根 資料をもとに関所が復元され,2007年に公開された.ずっと前に見た人見女に髪の毛まで探られている娘がエロ悲しそうだったのが印象的だった.今は全員モノトーンの人形になってしまい,見世物的興味が薄くなっている.刺又,突棒,袖がらみの捕具三点セットはあいかわらず展示されていた.
"ここンとこは東海道の喉ッ首でな、お関所があるんだよ、他所ァ廻り道をしてみろ、関所破りてえことンならあ"(三人旅)
箱根の関所の捕具 1311
芦ノ湖 悋気の見本(立名人名演08:18) 1件1題 (東京1件) 足柄下郡箱根町 西側が箱根の外輪山,東側が箱根山(神山)にはさまれた南北に細長い湖.北から流れ出した早川が箱根山をぐるっと回って小田原へ流れている.南東部が箱根の関所がある観光拠点.ここと北側の湖尻を遊覧船が結んでいる.湖尻からはロープウェイとケーブルカーで強羅につながっていて,ぐるっと回遊して遊べる最高の観光地.
"箱根へいらっしゃって湯本・塔の沢、大湧谷・小湧谷、芦の湖、残らずご見物"(悋気の見本)
芦ノ湖海賊船 1311
箱根山権現 八重葵噂天一(三友舎 (1892)) 足柄下郡箱根町箱根 箱根神社.箱根権現は神仏分離前の名前.背後に駒ヶ岳を控える山岳信仰の聖地.武家の信仰厚く,旧国弊小社に位置していた.海中に突きだした平和鳥居は戦後に建てられたものだが,とにかく目立つ.
"将軍家光公京都に御遊歴のみぎり函根山権現の鳥居前へ御駕籠が下りると"(八重葵噂天一)
箱根神社平和鳥居 0109
強羅 箱根温泉(新風金語楼1:03) など 2件2題 (東京2件) 足柄下郡箱根町強羅 強羅(ごうら).避暑地,別荘地として大正初期に開発.フランス式庭園が造られ,ここまで登山鉄道が敷設された.
"箱根の温泉というと、強羅ですか、宮の下、塔の沢……"(箱根温泉)
強羅を望む 9902
小涌谷 悋気の見本(立名人名演08:18) 1件1題 (東京1件) 足柄下郡箱根町小涌谷 強羅へ行くまでの途中.箱根外輪山からの漏水による千条の滝が凍っていた.
"箱根へいらっしゃって湯本・塔の沢、大湧谷・小湧谷、芦の湖、残らずご見物"(悋気の見本)
千条の滝 9902
大涌谷 悋気の見本(立名人名演08:18) 1件1題 (東京1件) 足柄下郡箱根町仙石原 元は大地獄などと言った.写真も噴煙で何だかわからない.真っ黒な温泉玉子が名物.
"箱根へいらっしゃって湯本・塔の沢、大湧谷・小湧谷、芦の湖、残らずご見物"(悋気の見本)
大涌谷 9902
足柄山 うどんや(講落語全集2:25) など 3件1題 (東京3件) 南足柄市あたり 箱根火山の外輪山.金太郎の生家跡や金太郎が遊んだ石がある.東海道以前の官道が通る.
"足柄山で育ったから、怪童丸時分には熊と角力も取ったろう"(うどんや)
金太郎 かぶと石とたいこ石 0105
道了尊 小間物屋政談(青圓生12:08) など 10件5題 (東京10件) 南足柄市大雄町1157 曹洞宗大雄山最乗寺.道了は寺を造ると大天狗となった.御真殿は道了尊を祀る.「派手彦」では,無骨な番頭の手を,道了様の羽団扇にたとえている.
"そのうち道了さまの講中がおおぜい、どかどか、どかどか、つめかけてまいりました"(小間物屋政談)
大雄山最乗寺 1610
矢倉沢 東海道五十三次(かわさき落語草紙,まつ出版 (2008)) 南足柄市矢倉沢 足柄山のふもと,矢倉沢往還に矢倉沢関所が設けられていた.大雄山駅からバス.民家の庭先に関所跡の碑がある.北の方,裏関所跡にも表示があった.
"箱根御番所に 矢倉沢がなけりゃ 連れて逃げましょ お江戸まで"(東海道五十三次)
矢倉沢関所跡 1610
河村 河村瑞賢(にっかつ談志:5) 1件1題 (東京1件) 足柄上郡山北町山北か 河村氏の出身地.河村城へは足柄峠からのバスの一部が近くの内山まで行く.
"相模ノ国河村に居りましたため、所の名を姓といたしまして"(河村瑞賢)
河村城址 0105
松田 富士詣り(騒人名作06:17) など 2件1題 (東京2件) 足柄上郡松田町 かつては鮎が名産.東海道線の鮎寿司駅弁は人気品だった.鮎塚は,1958年に観光協会らが建てた.
"汽車の便利がありますために、僕は松田で下りる、イヤ僕は国府津で下りる"(富士詣り)
鮎塚 0105
秦野 烟草の競争(講明治大正5:56) 1件1題 (東京1件) 秦野市 タバコの産地だったことを記念し,たばこ祭りが行われる.それはよいが,JT安全性研究所という施設を見かけた.タバコの安全性を証明しようとするの?.
"「これは秦野だ」「ウン、なるほど………」"(烟草の競争)
     
大山 大山詣り(青圓生04:01) など 48件13題 (東京48件) 伊勢原市大山 夏の落語,「大山詣り」があるため頻出.阿夫利神社の用例(新評世界4:08など)もある.「大山詣り」では参詣している場面はない.講中がそろって両国の垢離場で身を清め,木太刀を納めるのがならい.唱える文句が,"さんげさんげ六根罪障おしめにはったい金剛童子大山大聖不動明王石尊大権現大天狗小天狗".「梅若礼三郎」に出てくる.十六丁目の追分に建つ巨石にも,新吉原町中 奉獻石尊大權現大天狗小天狗御寳〓[ぜん](前の異体字)とある.
"富士詣り・道了尊、あるいは大山詣りなどで、中で大山はいちばん江戸に近いというので、たいそう繁昌したものだそうで"(大山詣り)
追分石塔 1108
大山:滝 富士参り(講明治大正6:18) 1件1題 (東京1件) 伊勢原市大山 二重滝(にじゅうのたき).山腹の下社から徒歩10分ほど.ここで垢離を取った.山麓の参道には他に愛宕滝,良弁の滝などがある.
"大山には滝がありますぜ"(富士参り)
二重滝 0205
本厚木駅 弥次郎(三一談志3:05) 1件1題 (東京1件) 厚木市泉町あたり 小田急線本厚木駅.談志のマクラ.駅前であったイキな飲み逃げの入れ事.
"場所は小田急、本厚木の駅の近くの店で、冬の話"(弥次郎)
     
座間 人生が二度あれば(春風亭昇太ひとり会 はじめての落語。, 東京糸井重里事務所 (2005)) 座間市 春風亭昇太の新作.米軍の機銃掃射で重傷を負った柳昇師匠が,公演会場の屋上からキャンプ座間を見下ろし憤慨する場面.おそらく文化会館隣の市役所展望回廊のことだろうが,実際には米軍基地はこの程度しか見えない.
"神奈川の座間というところに仕事に行ったんです"(人生が二度あれば)
キャンプ座間を望む 0712
座間キャンプ 人生が二度あれば(春風亭昇太ひとり会 はじめての落語。, 東京糸井重里事務所 (2005)) 座間市,相模原市 米軍キャンプ座間.盆踊り時期などに一般公開.元は陸軍士官学校で,相武臺碑が立つ.写真のように基地内を横断する堀割道路がある.
"アメリカのキャンプがあるところなんですよ、座間キャンプが。で、こっちからこっちは日本の民家ですよ"(人生が二度あれば)
キャンプ座間のトンネル 0712
半原 左甚五郎(青圓生13:14) など 4件1題 (東京4件) 愛甲郡愛川町半原か 落語曰く,彫刻家を輩出したという相州半原.現在はネクタイが名産.藤野 青蓮寺の妙見堂を作った右中・左中兄弟は半原出身とのこと.
"野州で日光、相州半原、城州伏見という、これァまァ、昔ッからいい職人の出る土地としてある"(左甚五郎)
半原で見つけた彫刻 0205
小原 鼠小僧闇路初旅(にっかつ談志:4) 1件1題 (東京1件) 相模原市緑区(旧津久井郡相模湖町小原) 小原(おはら).甲州街道の宿で,神奈川県内に残る唯一の本陣.
"武蔵と相模の境、小原へ出まさァ"(鼠小僧闇路初旅)
小原宿本陣 9709
相模湖 夜店(新風ミニ:006) 1件1題 (東京1件) 相模原市緑区(旧津久井郡相模湖町),藤野町 桂川に設けられた水源用ダム湖.エアレーションしていたが相当に汚い.ちょうど勝瀬橋あたりで甲州街道も川を渉っていた.
"いうなれば貯水池みたいなものだ。東京ならばさしづめ村山か相模湖"(夜店)
相模湖勝瀬橋 9709
吉野 鼠小僧闇路初旅(にっかつ談志:4) 1件1題 (東京1件) 津久井郡藤野町吉野 甲州街道の宿.小原,与瀬宿の次.見るべき所はない.
"厭な噂ばっかりよ。吉野宿で強盗が人を斬ったの"(鼠小僧闇路初旅)
吉野神社 9709
関野:本陣 鼠小僧闇路初旅(にっかつ談志:4) 1件1題 (東京1件) 津久井郡藤野町小渕 甲州街道の宿.関野宿本陣は藤野駅から約1km西方右側で,銘板がある.
"関野の宿の本陣で強盗働き"(鼠小僧闇路初旅)
関野宿本陣銘板 9709
丹沢山 吾妻の猪買い(定本 九州吹戻し, 新人物往来社(2001)) 足柄上郡山北町,津久井郡津久井町,愛甲郡清川村 江戸落語版の「池田の猪買い」.猪の出る土地.
"猪の名所と申すは此の日の本に四箇所ある(中略)相模之国は丹沢山の奥深く"(吾妻の猪買い)
     
だんだら坂 お神酒徳利(旺文小さん3:08) 1件1題 (東京1件) 神奈川県:架空 "だんだら坂の茂十のところ小倅と"(お神酒徳利)      

〓[ぜん]:止の下に舟

掲載 050805/最終更新 170101

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