地点名 |
この1題・登場回数 |
位 置 |
備 考 |
写真と撮影年 |
大分県 |
おおいたけん |
作文(桂三枝創作落語大全集, メディアクラフト牡牛座 (2004))など |
大分県 |
大分県の名は,4席の落語に登場するが,落語の実舞台となることはまれ.国東半島からスタートして,いったん西へ向かい,南下する形で,大分県の落語地名を紹介する.
熊野磨崖仏は,豊後高田市,国東半島の山中にある.鬼が一夜で積んだといわれる石段を登りつめると,大日如来と不動明王が迎えてくれる.いずれも国重文に指定されている.別項の臼杵磨崖仏がどれも端正な姿なのに対して,長いあいだ風雨にさらされ,温和というかコミカルな表情になった不動明王に出会うと,石段を登った疲れを忘れ,ふっと肩の力が抜けてきた.
"何で、顔つなぎで行くねんな。そんな大分県のベビー服屋さんと。うちの店は写真屋やで"(作文) |
熊野磨崖仏不動明王 |
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2009 |
豊後 |
ぶんご |
九州吹き戻し(三一談志5:03) 1件1題 (東京1件) |
大分県 |
旧国名.江戸時代は岡藩7万石も豊後国のうちになる.
おおかた <| 宗太郎 |> しげおか おぉい……誰もいないかぁい.大方宗太郎家に忍び込んだ新米の泥棒ではないが,宮崎県境の宗太郎越えはさびしい場所.6時54分に,日本で一番早く下り最終列車が出るのが宗太郎駅.
"豊後へ渡り、竹田は岡の城下"(九州吹き戻し) |
日豊本線 宗太郎駅 |
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2001 |
大分空港 |
おおいたくうこう |
湯けむりが目にしみる(レオ三枝7:01) 1件1題 (上方1件) |
国東市武蔵町糸原,安岐町下原 |
新作落語1件のみに登場する.ホバークラフトのアクセスのある唯一の空港,だったが2009年に運行が廃止された.特色ある乗り物が一つ失われてしまった.
"マレーシア行きの飛行機のエンジンがトラブッてな、大分空港に着きよったんや"(湯けむりが目にしみる) |
大分空港ホバークラフト乗り場 |
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2001 |
宇佐 |
うさ |
紀州(青圓生01:05) 1件1題 (東京1件) |
宇佐市 |
宇佐市は第35代横綱双葉山の生誕地.生家跡のそばに,双葉の里という記念館がある.69連勝の大記録を持つ双葉山は,相撲道の神のような人物.たとえば,連勝記録が途切れたときの"われ未だ木鶏たりえず".これだけの記録を作りながら,木彫りのように動じない闘鶏の心境に達していていないと吐露している.右目と右小指に障害がありながら,現役中はそのハンデを悟らせず,"後の先"に徹して,決して待ったをしなかった.
"三韓を征伐あそばして、九州の宇佐というところへお船がつきます"(紀州) |
横綱双葉山像 |
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2020 |
宇佐八幡宮 |
うさはちまんぐう |
槌の音(騒人名作01:19) など 3件2題 (東京3件) |
宇佐市南宇佐2859 |
宇佐神宮.全国の八幡宮の総社.広い境内の石段を登ると,上社がある.社殿応神天皇,比売大神,神功皇后が祭神で三社がならぶ.本殿は国宝で,写真に見えているのは,拝殿の南中楼門になる.二拝四拍手で参拝するのが習い.名物の宇佐飴は,麦芽,水飴を練った素朴な飴で,参道にずらりとならぶ土産屋で売っている.用例の「槌の音」は「紀州」のこと.「紀州」は短い噺なので,枕に神功皇后の事跡や,「お歴々」などの小噺がつく.
"宇佐へお祀り申して、宇佐八幡宮と崇め奉ります"(槌の音) |
宇佐神宮 |
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2020 |
宇佐駅 |
うさえき |
紀州(柳家小満ん口演用「てきすと」<拾遺> 1, てきすとの会 (2019)) |
宇佐市岩崎 |
宇佐八幡の最寄り駅.手作り看板の文字の大きさは受けをねらっているとしか思えない.宇佐の製品はメードインUSA.
"よくよく尋ねたら、宇佐駅に<USA>と書いてあったという"(紀州) |
JR宇佐駅 |
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2009 |
耶馬渓 |
やばけい |
兵庫船(三一上方2:09) など 2件1題 (上方2件) |
中津市耶馬溪町あたり |
山国川沿いに本,裏,奥,深,羅漢寺耶馬渓が連なる.凝灰岩が浸食され,柱状の奇岩が残る景勝.後藤又兵衛は大坂夏の陣を逃れ,この地で没したともいう.
"九州には、耶馬渓というよいところがありますな"(兵庫船) |
裏耶馬渓 後藤又兵衛墓 |
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2001 |
山国川 |
やまぐにがわ |
五百羅漢(柳家小満ん口演用「てきすと」 18, てきすとの会 (2016)) |
中津市 |
山国川(やまくにがわ).奇勝の耶馬溪を貫き,福岡県境を下って周防灘に注ぐ.青洞門が掘られる前は,この断崖を削った道を通っていたという.今も鎖場だらけの競秀峰探勝道として,勇気があればチャレンジできる.
"山国川という川に沿った断崖絶壁の桟道を、鎖に掴まって渡らなければ成らないという難所"(五百羅漢) |
山国川の断崖 |
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2019 |
青の洞門 |
あおのどうもん |
耳かき始末(角川中島らも2:15) 1件1題 (上方1件) |
中津市本耶馬渓町 |
難所で亡くなる人を哀れみ,僧善海が20年以上かけて掘り抜いた洞窟.菊池寛「恩讐の彼方に」の舞台.このあたりの経緯も,小満ん師は「五百羅漢」で丁寧に説明している.今は車が交互通行可能になっている.善海の掘った洞門も一部,地下道になって残っており,あらあらしいノミ跡が見られる.サビだらけのノミも羅漢寺下のお堂に展示してある.
"よくぞここまで。青の洞門!"(耳かき始末) |
青の洞門 |
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2019 |
羅漢寺 |
らかんじ |
五百羅漢(柳家小満ん口演用「てきすと」 18, てきすとの会 (2016)) |
中津市本耶馬渓町跡田 |
「五百羅漢」は,本所五つ目親子ヤカンの小噺の方ではなく,新作.松雲という仏師が耶馬溪の五百羅漢を見て思い立ち,苦労の末,本所の五百羅漢を彫りあげる.羅漢寺耶馬溪の山中にある曹洞宗羅漢寺には,リフトも通じている.山門より中は撮影禁止.無漏窟の中に,釈迦如来を中心に,十大弟子や五百羅漢石像が並んでいる.国重文.
"耶馬溪の先にある、耆闍崛山羅漢寺へ行こうとした時に、この断崖絶壁の難所に差し掛かります"(五百羅漢) |
羅漢寺山門 |
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2019 |
毛谷村 |
けやむら |
寝床(三一大系6:13) など 3件1題 (東京3件) |
中津市山国町槻木毛谷村 |
「彦山権現誓助剣」の毛谷村六助の出身地.山峡の村.向かいには雪を残す英彦山が見えた.ここまで来るのも大変だが,住むのはその何層倍も大変だろう.
"彦山権現誓助剣毛谷村六助の段"(寝床) |
毛谷村六助 木田孫兵衛墓 |
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2001 |
サファリパーク |
さふぁりぱーく |
さよなら動物園(桂三枝創作落語大全集, メディアクラフト牡牛座 (2004)) |
宇佐市安心院町南畑 |
廃園になる動物園で飼っている動物の引き取り先が,大分のサファリパークと書かれているが,どこと特定されてはいない.九州自然動物公園にアフリカン・サファリがある.いやいや,別府ラクテンチにだってアドベンンチャーサファリがあるぞ.
"ダチョウエミューカンガルーは大分のサファリパークです"(さよなら動物園) |
アフリカンサファリ |
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2009 |
湯布院 |
ゆふいん |
湯けむりが目にしみる(レオ三枝7:01) 1件1題 (上方1件) |
由布市湯布院町 |
有卦に入っている温泉地で人があふれている.人気になったのが最近なので,古典落語には出てこない.金鱗湖は,近くに下ん湯共同浴場などがあり,水温が高くもやが立つ.山名などは由布と書く.2005年に町村合併で由布市となる.
"あっ、これ湯布院のおみやげ。湯布院の温泉饅頭"(湯けむりが目にしみる) |
金鱗湖 |
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2001 |
別府 |
べっぷ |
地獄八景亡者戯(創元米朝4:03) など 10件6題 (東京3件, 上方7件) |
別府市 |
温泉地別府.別府八湯といわれ,泉質もさまざま.地獄めぐりはセット券でも単独でも旅程に合わせて選べる.明礬温泉には無形文化財である鉄明礬の湯の花採取小屋がある.近場の湯ならば,駅前高等温泉がおすすめ.大分名物はだんご汁,鳥天,りゅうきゅうにやせうま.りゅうきゅうは,アジなどの刺身を醤油たれに漬けたもので,ご飯に乗せて食べる.専用のたれも市販されていた.やせうまは,小麦粉の麺状のものに,砂糖ときな粉をまぶした菓子.
"あんたと別府へ行ったことがおましたなあ"(地獄八景亡者戯) |
海地獄 |
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2009 |
鶴崎 |
つるさき |
曽呂利茶室落語(噺の種 曽呂利茶室落語, 駸々堂 (1891)) |
大分市鶴崎など(旧大分郡鶴崎町) |
備後は誤りで豊後が正しい.港湾が発達し,栄えた土地らしく,鶴崎遊廓があった.熊本藩の参勤交代に使った鶴崎御茶屋は,鶴崎城址である鶴崎小学校にあたる.勝海舟坂本龍馬宿泊地と表示されている.用例の「曽呂利茶室落語」は「田能久」のことで,『百千鳥』という雑誌に載ったもの.演者の曽呂利新左衛門は,舞台設定を別の場所に移して,雑誌連載向けにアレンジするのがうまかった.
"長崎の演劇(しばい)を終局(をはつ)てから備後の鶴崎へ渡り"(曽呂利茶室落語) |
鶴崎御茶屋跡 |
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2019 |
臼杵 |
うすき |
煙草の呑分(新作落語扇拍子, 名倉昭文館 (1907)) |
臼杵市 |
用例は「煙草の飲みわけ」で,ずらずらと出てくる煙草の産地の一つ.今,臼杵と言えば磨崖仏が有名.平安時代から鎌倉時代にかけて,凝灰岩から彫り出されたもので,ほとんどが国宝に指定されている.丘を巡りながら拝観する.最も有名なのが,写真の大日如来像で,佐倉の歴博にもレプリカが屋外展示されている.
"ムムウ……豊後の臼杵"(煙草の呑分) |
臼杵磨崖仏大日如来像 |
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2019 |
竹田 |
たけだ |
九州吹き戻し(三一談志5:03) 1件1題 (東京1件) |
竹田市 |
"杉野はいずこ"の広瀬中佐は竹田の出身.墓は城からも市街からも離れた高台にある.竹田の売りは岡城と田能村竹田.
""杉野はいずこ"なんて、旅順港で広瀬中佐は探したけれど"(平家物語) |
広瀬中佐墓 |
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2001 |
岡城 |
おかじょう |
九州吹き戻し(三一談志5:03) 1件1題 (東京1件) |
竹田市竹田 |
岡藩7万石.岡城は「荒城の月」のモデルとされ,スピーカーからは荒城の月が流れ続ける.高石垣が有名.城跡自体が入場有料なのは珍しい.
"豊後へ渡り、竹田は岡の城下"(九州吹き戻し) |
岡城石垣 |
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2001 |