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4・5日目     下新田日記 本文


 1893(明治26)年9月21〜22日
 沼田〜熊谷〜新宿


 帰路は前橋へは出ず,高崎へ向かう.当時の最速ルートで直帰.
  日數ほと瓢(ふくべ)育つや旅の留主
               −新宿−


4日目
地点名 出典と登場回数 位 置 備 考 写真と撮影年
棚下 たなした 上野, 下新田 渋川市赤城町棚下 既出(2日目).圓朝は人力車に乗って渋川に向かった.以前,ルートがわからないと書いたことを訂正.おそらく往路と同じ道を通ったため,道中を詳細に書かなかったのだろう.岩本を過ぎ,現在とは違う場所に架かる綾戸橋を渡って,棚下へ入った.棚下の両岸には崖が迫っており,特に綾戸の断崖を"川向ふは岩石屏風を立てたる如く"と記したのだろう.
"棚下まで来たる。昨日の雨にて路はわるく、谷川の水増して"(下新田日記)
     
桜の木 さくらのき 下新田 渋川市上白井 利根川右岸.十八坂峠の登り口あたりの地名.国道を離れてすぐのところに,写真のような沼田街道を示す石標や道祖神などがまとめて置かれている.
"少しづつ登る路に成り、やうやう桜の木迄来る"(下新田日記)
沼田街道西廻り石標 2025
長坂村 ながさかむら 下新田 渋川市上白井 桜の木からは5キロほど進んでいる.写真の道標には,"志ぐるるや左は白井右はまき"とある.白井,北牧の分岐点を句で案内している変わった道標.国道17号バイパスが開通して,周辺の景色はまったく変わってしまった.
"是からは下りと成りて、長坂村の藤本屋に休みたり"(下新田日記)
長坂道標 2025
渋川 しぶかわ 伊香保, 後の文治, 草三 など 全4件4題 渋川市 既出(初日).圓朝は,この月(明治26年9月1日)に開通したばかりの渋川−高崎間の馬車鉄道に乗った.馬車を待っていると,圓朝のことを相撲取りと見間違える人がいる.圓朝もわざとドスのきいた声を出して,それらしく振る舞う.
"此村(ここ)より渋川迄一里十四町"(下新田日記)
     
青梨 あおなし 下新田 前橋市青梨子町 青梨子(あおなし).馬車鉄道の旅程.青梨子という名前の停車場があった.後に,清里と改称している.今の関越交通清野町バス停(前橋市清野町)あたりだろう.日本中央バスの青梨子バス停とは異なる.
"発車と成り、早くも青梨に立てる"(下新田日記)
青梨子バス停 2026
金古村 かねこむら 後日譚(岩波), 下新田 全1件1題 高崎市金古町 馬車鉄道の旅程.高崎からやってきてすれ違うはずの馬車が遅れて,圓朝はしばらく足止めされる.金古は「塩原多助後日譚」にも登場する地名.三国街道の金古宿があった.神保家は金古上宿にある名主をつとめた旧家.
"それより金古村にて馬つぎ替へと成る"(下新田日記)
金古宿神保家大門 2026
飯塚 いいづか 下新田 高崎市飯塚町 ここも馬車の旅程.飯塚には渋川方面の三国街道と箕郷方面の渋川街道への追分がある.追分には,八坂神社,愛宕神社,道祖神が祀られている.ここまで来れば,もう高崎は近い.
"飯塚とあら町の停車場まで通車するとは便利なり"(下新田日記)
飯塚追分 2025
あら町 あらまち 下新田 (他 東京1件) 全1件1題 高崎市新町 新町(あらまち).高崎市街.荒町の原(「西海屋騒動」)とは違う場所のようだ.
"飯塚とあら町の停車場まで通車するとは便利なり"(下新田日記)
新町交差点 1999
高崎 たかさき 伊香保, 草三, 黄薔薇 など (他 東京10件) 全20件18題 高崎市 既出(初日).ここで馬車をおりて,鉄道に乗り換えた.
"乗客(のりきゃく)皆下車して乗り替へ、やうやうと高崎に来たり"(下新田日記)
     
熊谷 くまがい 多助, 草三, 高麗の茶碗 など (他 東京15件) 全20件15題 埼玉県熊谷市 既出(初日).圓朝は熊谷で途中下車して,知人宅に宿泊する.
"其の日は熊谷に下りて、本間兵衛氏を尋ねたれば"(下新田日記)
     
 −経路外−
碓氷峠 うすいとうげ 札所, 皿山, 草三, 黄薔薇 など (他 東京4件) 全9件7題 安中市松井田町〜長野県北佐久郡軽井沢町 旧中山道,群馬−長野県境.
"此の馬車は碓氷峠の鉄道を引きたりと聞きて"(下新田日記)
     
横浜 よこはま 因果塚, 心眼 など (他 東京150件, 上方8件) 全174件109題 神奈川県横浜市 横浜港が開港した維新後の噺に限られるが,東京落語では「心眼」「風呂敷」「穴泥」「寝床」と言ったところで登場する.
"乗客の中には横浜まで帰られずとぼやくもあり"(下新田日記)
     
5日目
地点名 出典と登場回数 位 置 備 考 写真と撮影年
桶川 おけがわ 皿山, 多助, 後日譚(岩波) など (他 東京2件) 全5件5題 埼玉県桶川市 桶川駅.1885(明治18)年開業.2020年には,開業135周年を祝う垂れ幕が掲げられていた.
"其のうちに、桶川より大宮と走り"(下新田日記)
桶川駅 2020
大宮 おおみや 皿山, 多助, 孝子, 下新田 など (他 東京7件) 全10件9題 埼玉県さいたま市大宮区 既出(初日).大宮駅.
"其のうちに、桶川より大宮と走り"(下新田日記)
     
赤羽 あかば 因果塚, 下新田 (他 東京14件) 全15件4題 東京都北区赤羽 既出(初日).赤羽駅.2回とも,"あかば"のルビが振られている.
"早くも赤羽にて乗り替へ"(下新田日記)
     
板橋 いたばし 皿山, 縁切榎, 多助 など (他 東京39件) 全48件26題 東京都板橋区 「阿武松」などに出てくる中山道板橋宿とは違って,ここでは板橋駅のこと.1885(明治18)年開業.碑は板橋区が開業100年を記念して駅前に建てたもの.
"五分間のうちにたちまち板橋"(下新田日記)
板橋驛之碑 2003
目白 めじろ 下新田 (他 東京9件) 全9件9題 東京都豊島区目白 目白駅.板橋駅と同じく1885(明治18)年開業.豊島線(山手線)田端−池袋の開通は18年後になる.
"板橋、目白と早や新宿に着きたれば"(下新田日記)
JR 目白駅 2003
新宿 しんじゅく 乳房榎, 八景 など (他 東京123件, 上方1件) 全127件77題 東京都新宿区 新宿駅に下車し,新宿北裏町の圓朝宅に帰りついた.花園公園(新宿1-21)に旧居跡の碑がたつ.これにて「下新田日記」は跋.ご退屈さま.
"新宿に着きたれば、いつもの茶屋にて腕車(くるま)を雇ひ、やうやう帰宅して"(下新田日記)
三遊亭圓朝舊居址碑 2025

掲載 060224/最終更新 260301

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