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雨後の残月   
−うごのざんげつ−

 圓朝晩年の作品.明治30年,讀賣新聞に連載.年代が2年ずれ,冒頭こそ彰義隊の墓参の場面がつけ加わっているが,「松と藤芸妓の替紋」の焼き直し.

 大あらすじ
 嫉妬から奥州屋を刺した幸三郎,目撃者の車夫も殺めてしまう.2人とも親類だとわかり,幸三郎の迷いの雨雲晴れて,月のような心に帰り自害.
 彰義隊の墓参
 明治6年9月,彰義隊の墓参の帰りに,奥州屋新助,幇間の三八に会う.芸者小美代を訪ねる−新助が勘当された時の短冊を見付,小美代が実の妹,お松と知り,身請けの相談−小美代の間夫,幸三郎が身請けの話を遺恨に思い,車で帰る新助を妻恋坂で刺殺−新助,真実を幸三郎に語る−新助の妻,お豊へ兄の斧五郎が金の無心−斧五郎,実は新助を乗せた車夫−お豊らは横浜へ逼塞
彰義隊の墓
 谷中の殺人
 12月3日,幸三郎,新助からもらった金で小美代を身請け−松山園という葉茶屋を開く/明治7年9月21日,2人で母と新助の墓参の帰り,斧五郎の車に乗る−新助殺害現場に落ちていた比翼紋の煙管を証拠に強請られた幸三郎,谷中で斧五郎を刺殺
 斧五郎の改心
 明治8年1月末,兄斧五郎も殺され,貧苦にあえぎ,さらに盲目となったお豊親子,三八を訪ねる−三八,奉加帳を持って幸三郎を訪問−幸三郎,殺した相手が義兄と斧五郎と知る−幸三郎自害.家督をお豊親子へ譲る
 はなしの人びと
川久保斧五郎 かわくぼおのごろう (-1874.09.21) 車夫.ふみの兄.藤川をゆすり,殺される.
清元三八 きよもとさんぱち   幇間.
けい けい (1867-) とよ,新助の子,新太の姉.
小美代 こみよ   芸者.新助とは兄妹.
新太 しんた (1871-) とよ,新助の子.
とよ   夫奥州屋新助の死後,盲人となる.
藤川幸三郎 ふじかわこうざぶろう (-1875.01) 若松屋新助,川久保斧五郎を殺し,自殺.
松山久馬 まつやまきゅうま   会津藩家臣.新助らの父.
若松屋新助 わかまつやしんすけ (-1873.09) 家出前は松山久次郎という.藤川に斬られる.

掲載 090101

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