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松と藤芸妓の替紋   
−まつとふじげいぎのかえもん−

 明治23年,三遊社への書き下ろし.小品.くらべてみるまでもなく,「雨後の残月」と同内容.「雨後の残月」の主人公が若松屋と藤川,こちらの方が"松と藤"で,オリジナルなのかもしれない.

 大あらすじ
 嫉妬から奥州屋を刺した庄三郎,目撃者の車夫も殺めてしまう.2人とも親類だとわかり,庄三郎自害.
 妻恋坂の闇討ち
 明治4年9月4日,奥州屋新助,幇間の三八に会う.芸者美代吉を訪ねる−新助が勘当された時の短冊を見付,美代吉が実の妹,お松と知り,身請けの相談−美代吉の間夫,庄三郎が身請けの話を遺恨に思い,車で帰る新助を妻恋坂で刺殺−新助,真実を庄三郎に語る/新助の妻,ふみへ兄の大西徳蔵が金の無心−徳蔵,実は新助を乗せた車夫
妻恋坂
 谷中の殺人
 12月25日,庄三郎,新助からもらった金で美代吉を身請け−松山園という葉茶屋を開く/明治5年9月4日,2人で母と新助の墓参の帰り,徳三の車に乗る−新助殺害現場に落ちていた比翼紋の煙管を証拠に強請られた庄三郎,谷中蛍沢で徳蔵を刺殺
谷中蛍坂
 庄三郎の改心
 明治6年1月,兄徳蔵も殺され,貧苦にあえぎ,ふみらは横浜へ逼塞.盲目となったふみ親子,三八を訪ねる−三八,奉加帳を持って庄三郎を訪問−庄三郎,殺した相手が義兄と徳蔵と知る−庄三郎自害.家督をふみ親子へ譲る
横浜開港記念会館

 はなしの足あと
 発端は,数寄屋町(台東区上野)の美代吉の家で奥州屋新助が身請けの相談.その帰り,妻恋坂下(文京区)で新助が殺される.翌朝,美土代町(千代田区)の新助宅へ車夫が現れる.墓参の帰り,蛍沢(台東区谷中)で庄三郎が車夫を殺す.零落したおふみが,御徒町の庄三郎を訪ねる場面で終わる.

 はなしの人びと
奥州屋新助 おうしゅうやしんすけ (-1871.09.04) 家出前は松山久次郎という.藤川に斬られる.
大西徳蔵 おおにしとくぞう (-1872.09.04) 車夫.ふみの兄.藤川をゆすり,殺される.
清元三八 きよもとさんぱち   幇間.
新太郎 しんたろう (1871-) ふみ,新助の子.
とよ (1867-) ふみ,新助の子,新太郎の姉.
藤川庄三郎 ふじかわしょうざぶろう (-1873.01) 奥州屋新助,大西徳蔵を殺し,自殺.
ふみ ふみ   夫奥州屋新助の死後,盲人となる.
松山久馬 まつやまきゅうま   会津藩家臣.新助らの父.
美代吉 みよきち   芸者.新助とは兄妹.
有松屋の婆 ありまつやのばばあ   置屋の婆.美代吉をかかえる.

掲載 090101

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