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指物師名人長二   
−さしものしめいじんちょうじ−

 モーパッサンの「親殺し」を翻案したものだが,原作とはずいぶんと趣が違っている.明治20年,圓朝自身の筆により中央新聞に連載.その2年前,人力車から落ちた傷をいやしに湯河原へ湯治に行っており,その時の取材が使われている.舞台にとった湯河原の風物が詳しい.圓朝お得意の名人伝でもあり,推理小説のようでもある.志ん生(5)は5回に分けて全体を演じている.

 大あらすじ
 指物師長二,上客の亀甲屋が幼い自分を捨てた実の親だと知るが,亀甲屋は頑として認めない.ついに亀甲屋を殺害.奉行は長二の助命に頭を悩ます.
 仏壇こわし
 文政3(1820)年,蔵前の坂倉屋助七,長二に仏壇作成を依頼−坂倉屋,百両の値の高さに驚く−絶対に壊れない品物だと言われ,かっとなり才槌で叩くが壊れない.坂倉屋感服
御蔵跡碑
 湯河原の捨て子
 11月,長二,兄弟弟子の兼松と湯河原へ湯治−土地の婆に自分が捨て子で,背中の傷は捨てられたとき竹に刺さったためと聞く/湯河原の風物こまごま
圓朝が滞在した藤田屋
 親殺し
 1821年,育ての親の菩提寺の天龍院で亀甲屋幸兵衛に会う.和尚,長二の身の上を話す−亀甲屋,長二をひいきにする−亀甲屋が実の親だと明かさぬのを苦に,背中の傷を見せて詰問.幸兵衛,長二を打ちすえる−11月10日,亀甲屋が忘れた50両を返しに行き,再び詰問.幸兵衛,刃物を出してもみ合い,亀甲屋夫婦死亡−翌日,長二,親方の清兵衛に悪態をつき,日付を遡った縁切状を渡す.実は親方に迷惑をかけない心算−長二,駆け込み訴え−南町奉行筒井和泉守,長二の評判がよいのを聞き,狂人として減刑を図るが,長二かえって怒り,親殺しを白状
谷中天龍院
 仇討ちのトリック
 奉行,長二の助命法に悩む−美濃屋夫妻を吟味するうち,殺された幸兵衛は長二の実父でないと知る.しかし,お柳は実母ゆえ親殺しの罪は逃れない−鍼医岩村玄石,美濃屋をゆする−密偵に様子を聞かれ,玄石ら捕縛.玄石は金をもらい半右衛門を鍼で殺していた−林大学頭,礼記を引用し,親殺しでなく実父の仇討という解釈を示す−長二無罪,玄石ら遠島−長二とお島結婚
南町奉行所跡

 はなしの足あと
 湯河原の様子が実に詳しい.その他は江戸市中で話が進む.蔵前(台東区蔵前)の仏壇壊し,長二が自分が捨て子だと知る湯河原の温泉場,実の親の存在を知る天龍院(台東区谷中)の墓参,本所〆切(墨田区吾妻橋)に住む長二を訪れた亀甲屋夫婦の殺害,回向院(墨田区両国)の師匠宅での愛想づかし,南町奉行(千代田区有楽町)での吟味が主な場面となる.

 はなしの人びと
岩村玄石 いわむらげんせき (-1824頃) 医者.半右衛門を鍼で殺す.
兼松 かねまつ   清兵衛の末弟.長二郎の手伝い.
亀甲屋幸兵衛 きっこうやこうべえ (1769-1821.11.09) 長二郎の父.長二郎に殺される.お柳らと謀り実父半右衛門を殺す.
坂倉屋助七 さかくらやすけしち (1768-) 蔵前の大家.長二郎に仏壇を注文.
さな さな (-1809.03.17) 長二郎の養母.長左衛門の妻.
しま (1813-) 坂倉屋の娘.腰元で島路.長二郎と結婚.
清兵衛 せいべえ (1745-1827.11.05) 指物師.長二郎の師匠.
長左衛門 ちょうざえもん (-1797) 長二郎の養父.湯河原で長二郎を拾う.
長二郎 ちょうじろう (1793.01.11-1845.09.02) 指物師.本名半之助,清兵衛の弟子.両親を殺す.
筒井和泉守 つついいずみのかみ   南町奉行[1821-1841].長二郎を救おうと苦慮する.
林大学頭 はやしだいがくのかみ   儒者.長二郎無罪のアイデアを出す.
半右衛門 はんえもん (1760頃-1793か) 長二郎の実父.お柳らに殺される.登場しない.
美濃屋茂二作 みのやもじさく (1767-1825頃) 稲荷町.お柳の仲人.半右衛門殺しで遠島.
よし (-1825頃) 美濃屋茂二作の妻.半右衛門殺しで遠島.
りゅう (1775-1821.11.09) 長二郎の実母.長二郎に殺される.

掲載 090101/最終更新 100805

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