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後の業平文治   
−のちのなりひらぶんじ−

 業平文治の活劇続編.圓朝が演じることはなく,腹案を弟子の金馬(1)が演じている.大伴蟠龍軒を追う文治は,新潟からなんと小笠原へ漂着する.ここでも,小町にちなみ,鸚鵡小町のシーンが挿入される.お町に至っては,越後山中で熊の穴に落ち込み熊と一冬を過ごす.果たして圓朝の舌力ならば,破綻なく演じることができたのか.

 大あらすじ
 大伴蟠龍軒を倒しそこねた文治は三宅島に遠島.赦免の後,新潟に大伴を追う.途中,妻のお町はさらわれ,自らは小笠原に漂着.辛苦の末,夫婦はようやく出会い,大伴を追いつめる.
 三宅島へ遠島
 安永5年,大伴蟠作殺害のかどで友之助,立花屋とともに捕縛される−文治の母死亡/友之助引き回しの刑の途中,文治ら割り込んで止める−文治ら捕縛−奉行,切腹を命じる/立花屋,老中松平右京に駕籠訴−家臣の藤原に調べさせた結果,老中,切腹の申渡書に捺印をこばむ−評定所にて再吟味.三宅島へ遠島となる−三宅島に到着時,暴動起きる.文治,暴動の訳を知り,下役頭と交渉.文治殺されそうになり,やむなく暴れる.囚人,下役頭の平林を殺す−江戸役人,奉行の一筆があるため文治らを処分せず.文治が代わって下役頭になる
三宅島陣屋
 越後の熊女
 お滝,大伴と謀り碁を口実に大名家に色仕掛けの強請に行くが,悪事露見−三宅島へ遠島.これが島民に殺された平林の妾.お滝は文治に助命される/安永9年,老中の意向で文治赦免.亥太郎の奪った煙草入れから庄左衛門の仇が大伴と知れる−文治と町,新潟へ出発−国境の火打坂にて駕籠屋に町を連れ去られる−町,逃げだすが熊の穴へ落ちる−熊に助けられて越冬−翌春,猟師と名主に保護される.町,土地の手習い師となり熊女の名を受ける
越後二居峠
 小笠原へ漂着
 文治,はぐれた町を探して新潟へ−疑わしい海賊船を探しに船に乗ったが,漂流してしまい小笠原へ漂着−たった一人で1年暮らす−土民に救われるが,またまた難船−商人に助けられ新潟へ/海賊の頭となった大伴,熊女に会いに来る−熊女が町だと悟る.そこに熊が現れ急を救う−文治,熊に導かれ町と再会−そこに国蔵が現れる−江戸帰京/武蔵屋に奉公するお滝の情報で,大伴が3月14日に向島の花見に来ると知る−奉行らもお忍びで集合.仇討−文治,旧主の堀家へ復帰
向島

 はなしの足あと
 江戸市中のほかは,三宅島,三国峠付近が詳しい.しかし,三国峠火打坂の細かい地理には疑問が残る.新潟から小笠原への漂着経路や小笠原島の風物の説明はない.
 はなしの人びと
石川土佐守 いしかわとさのかみ   町奉行.文治取調べ.石川政朝か政武.
亥太郎 いたろう   神田豊島町左官.文治の仲間.かつて浅草見附で文治と喧嘩した.
大伴蟠龍軒 おおともばんりゅうけん (-1786.03.14) 剣術師.友之助から騙り,お村奪う.
かや,萱 かや (1755-) 文治の姪.藤原の後添.
吉蔵 きちぞう (-1784か) 新潟.舟子.八十松の弁当で死ぬ.
国蔵 くにぞう   まかなの国蔵.前科者.文治をゆするが後に改心.
庄蔵 しょうぞう (-1784か) 新潟.舟子.八十松の弁当で死ぬ.
たき   平林の妾.阿部忠五郎の子.松平某を碁で欺し遠島.文治に大伴の居所を知らせる.
立花屋源太郎 たちばなやげんたろう   本所の料理屋.文治の行きつけ.松平右京に駕籠訴.
妻木数馬 つまきかずま   松平家家臣.大伴の企み暴く.
友之助 とものすけ (1754-) 元紀伊国屋奉公人.お村と開店.賭碁で借金.
なみ (1756頃-) 浮き草お浪.元深川の茶店.国蔵の夫.湯屋で九兵衛に絡む.
浪島文吾右衛門 なみしまぶんごえもん   文治の父.堀丹波守家来.浪人.死亡.
業平文治 なりひらぶんじ (1756-) 業平の侠客.浪島文治郎.三宅島へ遠島.小笠原へ漂着.
平林勘蔵 ひらばやしかんぞう (-1781か) 三宅島下役頭.囚人に殺される.
藤原喜代之助 ふじわらきよのすけ   元松平右京家臣.使い込みで放逐.おかやと再婚.後召し帰し.
まち (1763頃-) 文治に助けられ,結婚.熊の穴で越冬の辛苦を乗り越え,大伴討つ.
松平右京 まつだいらうきょう   松平輝高.老中.登場しない.
森松 もりまつ   元本所番場の賭博打ち.改心し文治の家来.
八十松 やそまつ   新潟飛脚風の男.文治の毒殺を謀る.
業平文治の母   (-1780.12) 文治に喧嘩止めの刺青をする.

掲載 090101/最終更新 100805

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