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調べても? 飛鳥  行程・地図
 今回は行ったばかりの現在進行形の紀行.
 飛鳥路は手つかずのため,いろいろな旅程を考えた古い下調べが残っていた.それをしっかり確認しなかったせいか,実際に行ってみると,時刻の変更が相次ぎ,疑問符が飛びかう結果となった.

 今回の旅程の骨子は,法隆寺にある.法隆寺は奈良からさのみ遠くないが,離れ小島のようで行きにくい.結崎−法隆寺間のバスがあることがわかり,これで近鉄沿線のポイントから関西本線へショートカットできる.そのため,実際には京都から奈良県へ入るのだが,東京−大阪−(法隆寺)−奈良−桜井−高田の往復割引切符を利用することにした.

 京都から地下鉄を使ったのは,乗り継ぎ案内ソフトを鵜呑みしたため.ちゃんと調べれば近鉄1本で天理まで直行だった.
 まず,天理をゆっくり見るかが思案のしどころ.下調べ段階では,三輪12時41分発の列車を使って,次のバスにピッタリ接続するつもりだった.出発前日にチェックしたところ,三輪発は12時49分が正しく,これでは次の駅の桜井12時45分発のバスに間に合うはずがない.どこかで時間を稼がないといけなくなった.

 天理では,丹波市の市座神社を見るつもり.往復約2kmなので30分ではやや厳しい行程.綾部も大本教[当時]一色だったが,さすが天理は規模が違う."ようこそおかえり"の大看板を後目に,市座神社へ走る.火除地のように道幅が広く,それを半分だけ覆うアーケードのある店が奇妙な一画だった.途中にあった北蝦夷詰所が一気に気温を下げてくれた.


丹波市
 京都−大阪−天理間の乗車を放棄して,JR切符での旅行を再開する.急いだおかげで,天理10時29分の予定より1本早い9時52分発の列車に間に合った.最初に時間を稼げたので後が楽になるはず.

 三輪というより桜井線は,廃線近しといった風情で寂々としている.ところが,大神神社はこちらの予想の100倍超の人手で,延々と駐車待ちの車列が連なっている.参拝もそこそこに山の辺の道を玄賓庵へ向かう
 山の辺の道も中年ハイカーが引きも切らずといったところ.古道歩きはブームだ.確かにかぼそい道がくねくねと山裾をめぐっており,1時間あまり楽しく歩けた.
 「軽業」の三輪の茶屋があった大神神社一の鳥居を見て駅へ戻る.幻の12時41分は乗れないにせよ,予定の12時4分よりさらに早い11時48分に間に合う.これも調べておらず偶然だった.


山の辺の道
 次は桜井からバスを利用して談山神社へ回るつもりだった.バスは12時45分なので,めずらしく店で昼食を取ることにした.
 飯粒噛みつつ,休みの昼下がりの長谷寺は混むだろうなとか考えていると,バス停で走り書きした談山神社のバス時刻が1時間ヘッドでないことに気づいた.これも下調べでは毎時45分発となっていたのに.どうも今回の旅は変だ.12時45分の次は14時5分発なので通常の1時間ヘッドよりも20分損する.談山神社はコンパクトなポイントなので,80分間はもてあますだろうと判断し,急に長谷を先に回ることに決めた.
 そうなったら飯を食べている場合でない.あわてて飛び出して,12時29分発の榛原行きに乗る.食事をしたせいで1本乗り遅れ,桜井線を1本早めたことが帳消しになった.

 長谷寺は噂に違わぬ名刹.花の時期にここだけのために来てもよし.
 予定通り長谷寺13時53分発に乗る.次の大和朝倉は交換駅で,予想以上の6分停車.桜井で乗り継ぐ雲行きが怪しくなってきた.その桜井には14時3分30秒ごろ到着,走らずんばあるべしの勢いで5分発のバスに飛び乗る.バス運転手の定時運行に感謝.

 多武峰談山神社は,何といっても木造十三重塔が圧巻で,鎌足公木像や拝殿内などをのんびり見ているうちに,大化改新を密談したという談所の森に行きたくなってきた.案内板を見ると290m所用10分とある.バスが出るまであと35分あるので,急げば楽勝とばかり裏山を駆けのぼる.坂道はいつもオーバーペースになり,最初は調子いいが,息も絶え絶えで談所の森に到着.でも,いい所だ.
 さて帰ろうと30m下の分岐点に立つ案内を見ると,250m先に鎌足公墓所とある.十三重塔が墓所ではないの?と思いつつ,落語地名の"鎌足公墓所"を漏らしては大変と,また走り出す.やっぱり墓石はなく,山頂が墳墓になっており,立ち入りはできない.時間は3時17分.
 帰り道は重力の恩恵で,何とか発車3分前にバス停に到着.神社と裏山をセットで見ようとするならば,1時間は厳しいかもしれない.


談所の森
 初日最後は天香具山.当初予定では,近鉄で長谷寺から畝傍御陵前へ出て,本薬師寺東あたりから遠望しようと考えていた.この辺はカシミール3Dの下調べの結果.ところが,談山神社から桜井に戻ったため,JRで畝傍に出られることになり,そこから畝傍御陵前に行く方針に変更した.結果として,往復割引にするためだけに買った高田までの切符をほぼ使い切ることになった.

 香具山あたりの車窓からはどこからでも天香具山がよく見えるが,手前に民家がずいぶんとかぶる.人気がないところを狙って,藤原京跡へ向かってみる.全く何もない空き地で,犬の散歩をしている人をのぞけばほとんど問題ないポイントだった.
 畝傍御陵前へ出る方針をまたまた変更し,落語には関係ないが今井に行ってみることにする.街道筋の町並みが残るところはよく見てきたが,今井は面で町が残っており,どの辻を曲がっても格子の家がずらりと並んでいる.話に聞く以上に凄みがある町だった.
 この日は,奈良泊5500円也.


寺内町今井
 2日目.5時半発.真夏と違って早出できない.
 明けやらぬ三条横町から,興福寺,東大寺と再訪.正倉院は平日の10時から15時まで外観を公開するらしいが,今回も日程が合わずパス.塀の隙間からのぞき見るだけ.知足院そばが遠望ポイントで,塀に赤い印があるのでわかる.
 「ご覧になりますか」と素っ気ない春日大社特別拝観部分の七種宿り木を見て,奈良市内の補充を終える.

 飛鳥へは近鉄で行く予定だったが,JRに変更.昨晩見たときに,奈良駅寺とでも呼びたい本屋入口が板囲いされて工事中だった.保存されるとは思うが,壊されては取り返しがつかないので,奈良駅をこなしてから飛鳥へ向かう.


春日大社 七種寄生木
 9時38分の電車に駆け込む.これは,前日天理から乗ったものと同じ列車だ.かつてはお召し列車が停まり,だだっぴろいだけに一層寂しい畝傍から近鉄に乗り換え,橿原神宮前へ.
 ここは,紀元二六〇〇年祭が行われたところで,近鉄はそのために路線と駅をつけ替えて式典に備えた.今でもV字形に2つのホームがつながり,正面は堂々とした構えをしている.

 駅前で自転車を時間借りして,橘寺,岡寺を回る.飛鳥はいろいろと見たいがこの2点に限定した.
 橘寺では小学生の一群と遭遇,みんな口々に二面石はどこだと騒いでいる.こちらも二面石を楽しみにしていたので,小学生と同レベルかと苦笑する.

 1時間ちょっとで自転車を返却する.朝早く起きると腹が減って,たまらず駅前で昼食.ごはん噛みだすと,またまた橿原神宮へ行く欲が出てきた.自転車返さなきゃよかった.
 橿原神宮は広大な敷地で,とても社殿まで行って参拝してくる時間はないが,平安神宮同様,老舗ではないので入口で失礼する.それよりも久米の仙人をどう扱っているか気になり,久米寺へ回ってみる.まあ,洗濯女に見とれたという記述は当然なかったけれど,なんとなく目尻の下がった仙人の石像に満足し,駅へ駆け戻る.


久米仙
 壺坂駅を出るバスは,調べより3分早く12時51分発とある.それよりも,30分ごとにあるはずのバスが,1時間おきになっている.とうとうこれで予定破綻かとがっくり.

 わずか10分で壺阪寺へ着く.帰りのバスは13時36分とあり,すぐに折り返さないらしい.それではいただきと,走って壺阪寺を参詣.さすが眼病の寺だけあって,人がくぐれる巨大メガネや目洗いの水があったりするが,圧巻はサワイチ目薬Vのネーミング.Vとは何,Vとは?
 10分走って20分休みの勤務は楽だけど眠くなるだろうと思いつつ,同じ運転手さんのバスで戻る.そういえば,マンガ本を手にしてたが,とっくに読んじゃったんだろうな.


メガネの壺阪寺
 壺坂から結崎に14時半に戻り,本日のハイライトである法隆寺のバス(15時40分)となる,はずだった.時間があるので,15時まで小憩し,駅から1kmほどの面塚へ向かう.
 ところが,車道の路側がふくらみ歩道に待合い用のベンチが置いてあり,いつでもバスが来そうな風情なのに,バス停のポールだけ蒸発したように見あたらない.草取りのご老人に声をかけてみると,バスはないと言っている.ここではないのか,廃止なのか?
 とにかく面塚へ行き,別の道路を探してみるが,バス路線はなさそう.今度訊ねた人は,はっきり廃止になったと言ってくれた.

 すわ,旅程の骨子の法隆寺に行けなくてどうするか.3時半でタイムアップはくやしい.このまま帰るにしても,切符は法隆寺から大阪まわり.往復切符の帰りだけ奈良線経由への変更は効かない.しかも,新幹線をケチってJR東海のチケットレスにしているので,もしも京都で大阪発の特急券が発券できないとしたら面倒だ.携帯を持たない報い,ぽいっと特急券変更という技も使えない.
 結崎に着いたのが14時半,20分に1本位の運転間隔だろうから,たぶん15時50分ごろに京都方面の電車があるだろうと踏んで,とにもかくにも結崎まで歩く.いまさら小休止が恨めしい.

 すでに夕方の時刻編成にかわったらしく,結崎15時43分発の西大寺行きがやって来る.ちょっと挽回の芽が出てきた.奈良と法隆寺の間はバスがあることは知っているが,経路も時刻表も全くわからない.地図をにらんで,バスが郡山近くを通るなら県道9号だろうと考え,郡山でJR駅に向かうかわりに,逆方向へ行ってみる.
 ラッキーなことに,90分に1本しかない運行なのに,16時12分の法隆寺行きのバスがあった.奈良発の路線ではないところが全く見当違いだったが,いろいろな偶然がかさなり,とにかく法隆寺に行ける.

 16時37分,拝観受付の人に急かされながら,西院五重塔を拝観.10分で堪能できたが,古刹の見方としては誉められたものではない.
 17時13分法隆寺発大阪行きで帰る.最後の?は,環状線を回って大阪駅に着いたとたん,大阪終着が天王寺行きに化けてしまったこと.道理で福島からもたくさん客が乗ってくるわけだ.


法隆寺
 帰って調べてみれば,奈良交通の公式HPでは,結崎−法隆寺線はなくなっているし,壺阪寺の高市は製薬で知られたところだった.
2004年10月

初 日   紀行
6:00 東京 8:15 京都 のぞみ1
8:21 京都 8:27 竹田 地下鉄
8:37 竹田 9:27 天理 近鉄
丹波市
9:52 天理 10:04 三輪
三輪,玄賓庵,山の辺の道
11:48 三輪 11:51 桜井
12:29 桜井 12:37 長谷寺 近鉄
長谷寺,初瀬
13:53 長谷寺 14:04 桜井 近鉄
14:05 桜井駅南口 14:29 談山神社 奈良交通バス
談山神社
15:32 談山神社 15:56 桜井駅南口 奈良交通バス
16:07 桜井 16:14 畝傍
天の香具山,今井
17:50 畝傍 18:34 奈良
奈良泊
 
2日目
5:30 出発
三条横町,興福寺,奉行所,正倉院
東大寺,芭蕉句碑,春日大社
9:21 春日大社表参道 9:34 JR奈良駅 奈良交通バス
9:38 奈良 10:14 畝傍
10:27 八木西口 10:32 橿原神宮前 近鉄
10:35 橿原神宮 レンタサイクル
橘寺,岡寺
11:50 橿原神宮
久米寺,橿原神宮
12:30 橿原神宮前 12:37 壺阪山 近鉄
12:51 壷阪山駅 13:00 壷阪寺 奈良交通バス
壺阪寺
13:36 壷阪寺 13:47 壷阪山駅 奈良交通バス
13:55 壺阪山 14:30 結崎 近鉄
川西
15:43 結崎 15:53 近鉄郡山 近鉄
16:12 矢田筋 16:32 法隆寺前 奈良交通バス
法隆寺
16:54 法隆寺門前 17:01 法隆寺駅 エヌシーバス
17:13 法隆寺 18:06 新大阪 快速
18:17 新大阪 20:53 東京 のぞみ148

掲載 041126

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