近江路一筆書き | 行程・地図 |
賤ヶ岳と竹生島,比叡山を回る. どこも何かのついでに寄れるようなポイントではない.賤ヶ岳リフトは11月下旬までしか運行しない.11月中旬,季節列車の出る,この日しか後がないと言う日にやっと出かけられた. 竹生島へは彦根,長浜(東岸),今津(西岸),飯浦(北岸)から船が出ている.賤ヶ岳に近いのは飯浦港で,ここから竹生島へ渡りたい.しかし,なぜか飯浦を通るバスと渡船が連絡するのは,11時20分発しかない.また,時刻表には船の往復運賃しかでておらず,2経路の乗り継ぎが可能かどうかははっきりしていないが,まさかそんな不便な運用はないだろうと踏んだ.ただ,別会社(長浜航路)に乗り継ぐのはダメだろうと考え,飯浦から入って,彦根へ抜ける計画とした. | |
6時36分のひかりに乗れたため,1本早い9時05分の福井行き鈍行に間に合う.そこで,予備地点だが虎姫駅をこなす.1週間後はここをSL列車が通過する.予定通りの,のぞみ−こだまの乗り継ぎの場合,米原9時23分になり,虎姫駅は素通りとなっていた. 11月の土日のみ運行の近江塩津行きで木ノ本9時54分着.バスは10時40分まで来ない.このバスは飯浦港行きに利用したいので,タクシーで賤ヶ岳リフト乗り場へつける. 賤ヶ岳山頂へは冬季休業間近のリフトで往復.さらに,大音から飯浦へは先ほどのバスを待つ.例によって,乗客は他に1名だけで,その上すぐに降りてしまった.大音は賤ヶ岳,飯浦は乗船場最寄りのバス停だが,お互い関係ないかのような風を装っている. 小屋掛けの飯浦乗船場そばには,ドライブインを兼ねた大型駐車場が完備されているが,乗船場には人気がない.発進間際に家族連れが乗り込み,乗客は10名ほど. マイナーな飯浦航路はのんびりしたもので,運転士はやおら弁当を取り出し,食べながら操船している.最後に湯飲みの茶で口までグブグブすすいで,11時45分竹生島着. | 賤ヶ岳古戦場 |
竹生島には多方面からの船が踵を接しており,派手な服装の人で雑踏している.登り口は料金所は1ヶ所で,誰もが同じところを回るしかない.50分の見物後,彦根航路に乗り継ぐ. バスと船とは仲でも悪いのか,彦根入港のとたん港からバスが発車してしまう.徒歩で彦根城へ回り,膳所と義仲寺をとぼとぼ見物し,本日最後の目的地の雄琴へ.雄琴の歓楽街は温泉街の手前,苗鹿の東に広がっている.すぐ脇は田んぼで,砂漠に浮かぶラスベガスの近江版といったところ.大津に適当な宿がなかったため,帰りは鹿島臨海鉄道を思わせるような雄琴駅から瀬田泊. | 雄琴 |
2日目.比叡山へは京都側から入って坂本へ抜けることとする.5時23分瀬田発で,京都市内に入り,上賀茂下鴨をこなして,大原へ.11月の大原行きのバスは,朝早いにもかかわらず乗りきれないほどの乗客.寂光院が開くのを待って拝観を済まし,ケーブル口へ戻る. ダッシュでケーブルに駆け込み,ロープウェイに乗り継いで比叡山頂着.ここは,平将門が都を望み,野望をたぎらせた地.ハーブガーデンの入り口で聞くと,将門が都を瞰望した岩は,園内にあるという.払わずもがなの500円を支払い,岩だけ見て庭園を通り抜ける. お返しのように比叡山頂のバスは閑散期の特別割引だった.まずは東塔へ回る.根本中堂は撮影不可だし,第一人が多すぎる.そこで,最澄が草庵を編んだ地といわれる本願堂を探す.案内図をしっかり見ておけば迷わなかったのだが,適当に探すうち,栄西の修行所や,道なき崖下にある寺僧の墓所,法華堂に近い別当まで歩き回ってしまう. 結局,根本中堂からさのみ離れていない蓮如堂そばの谷を挟んだところに本願堂があったが,谷を渡る橋は朽ち,堂の破却もひどかった. | 本願堂 |
あとは横川,西塔をバスを利用して回り,国内最長のケーブルで坂本へ下る.ケーブル途中に2ヶ所駅があり,終端からの距離が等しくなっていて,乗降があるときだけ両駅同時に停車するという面白い設定. おまけの日枝神社で時間を費やし,滋賀寺で時間切れとなる. 滋賀寺(崇福寺)跡へは,京阪滋賀里から徒歩1kmほどだが,もうくたびれて歩くのが辛い.握り飯を頬ばりながら山道を登る.途中の滋賀の大仏は,何とも穏やかな表情.前面を覆う暗い拝殿にほんのり姿が浮かび上がるのもいい演出.大仏様に救われ,崇福寺跡にたどり着く.ここは天智天皇の勅願寺で,意外と広い境内跡地にとまどう. 芝居に詳しい清水一朗氏の新作に登場する地名で,「鳴神」のセリフが引かれている.「鳴神」の舞台は京都北山で,滋賀寺との関連を読み解く知識はないが,聞くところによると「鳴神」は謡曲「一角仙人」を下敷きにしており,そのルーツは『太平記』,『今昔物語』にある.仙人の棲む地が崇福寺となったとの事.すっきりしないが,そうらしい. ついでに判ったのだが,一角仙人のインド名はリシュヤ・シュリンガ,なんと寿限無の王様であった. 不便な土地にもかかわらず,都合16ヶ所を回ることができた.これで,滋賀県は完了. | 滋賀の大仏 |
2003年11月 |
初 日 | 紀行 | |||||
6:36 | 東京 | 8:50 | 米原 | ひかり301 | ||
9:05 | 米原 | 9:23 | 虎姫 | |||
9:44 | 虎姫 | 9:54 | 木ノ本 | |||
9:56 | 木ノ本 | 10:00 | リフト乗り場 | タクシー | ||
10:02 | 山麓 | 10:08 | 賤ヶ岳古戦場 | リフト(近江鉄道) | ||
賤ヶ岳 | ||||||
10:29 | 賤ヶ岳古戦場 | 10:35 | 山麓 | リフト(近江鉄道) | ||
10:45 | 大音 | 10:47 | 飯浦 | 湖国バス | ||
11:20 | 飯浦 | 11:45 | 竹生島 | 船(オーミマリン) | ||
竹生島 | ||||||
12:35 | 竹生島 | 13:15 | 彦根港 | 船(オーミマリン) | ||
彦根城 | ||||||
14:10 | 彦根城 | 14:20 | 彦根 | コミュニティバス | ||
14:38 | 彦根 | 15:23 | 石山 | |||
15:31 | 京阪石山 | 15:36 | 膳所本町 | 京阪 | ||
膳所城,義仲寺 | ||||||
16:43 | 膳所 | 16:45 | 大津 | |||
17:03 | 大津 | 17:40 | 雄琴温泉ホテル前 | 江若交通バス | ||
雄琴 | ||||||
18:18 | 苗鹿 | 18:23 | 北雄琴 | 江若交通バス | ||
18:58 | 雄琴 | 19:18 | 瀬田 | |||
瀬田泊 | ||||||
2日目 | ||||||
5:23 | 瀬田 | 5:34 | 山科 | |||
5:48 | 山科 | 6:13 | 北山 | 地下鉄 | ||
上賀茂 | ||||||
6:54 | 上賀茂御薗橋 | 7:12 | 葵橋西詰 | 市バス | ||
糺の森,下鴨神社 | ||||||
7:52 | 御蔭橋 | 8:20 | 大原 | 京都バス | ||
大原,寂光院 | ||||||
9:40 | 大原 | 9:55 | ケーブル八瀬 | 京都バス | ||
10:00 | ケーブル八瀬 | 10:09 | ケーブル比叡 | ケーブル(京福電鉄) | ||
10:12 | 比叡 | 10:15 | 比叡山頂 | ロープウェイ(京福電鉄) | ||
四明ヶ岳 | ||||||
10:42 | 比叡山頂 | 10:48 | 比叡山BC | 京阪バス | ||
東塔本願堂 | ||||||
11:50 | 比叡山BC | 12:10 | 横川 | 京阪バス | ||
横川 | ||||||
13:20 | 横川 | 13:31 | 西塔 | 京阪バス | ||
西塔 | ||||||
14:30 | ケーブル延暦寺 | 14:41 | ケーブル坂本 | ケーブル(比叡山鉄道) | ||
日吉神社 | ||||||
15:36 | 坂本 | 15:42 | 滋賀里 | 京阪 | ||
滋賀寺 | ||||||
16:40 | 滋賀里 | 17:03 | 山科 | 京阪 | ||
17:10 | 山科 | 17:15 | 京都 | |||
17:46 | 京都 | 20:06 | 東京 | のぞみ144 |
掲載 041017