HOME >> 圓朝作品のあらすじ >> prev 烈婦お不二 next
烈婦お不二   
−れっぷおふじ−

 烈婦お不二は,岩波版円朝全集に初掲載.「操競女学校」の列伝と同様の作品.圓朝没後の明治42(1909)年,『時事新報』に連載された橘家圓喬の口演.実際に起きた飯田騒動を脚色している.烈女山口お不二(阿藤)は,飯田の名士.

 大あらすじ
 お家乗っ取りを謀る老女若山を刺殺した烈婦不二の生涯.
 月下の花見
 飯田藩の奥向きを勤める山口団次の娘,お不二が御殿勤めにあがる−藩主の堀大和守親茂には子がなく,側室を持つよう勧められる−駕籠の中から見かけた若山を,川瀬を親元に召し抱える−若山は殿に取り入り,増長がはじまる−家臣の塚原主水と密通し,さらには正妻の秋姫を亡きものにしようと,医師の川瀬順道に毒薬を調達させる−花見の宴に毒入り味噌田楽を供する計画−これを立ち聞きした女中の小沢は,満月の月陰にいる男女を若山と見間違え,殿に不義発見の報告−これは若山の計略で,小沢らは謹慎ーこのゴタゴタで毒殺は未遂に終わる−小沢と操は自害
月見る月は
 お不二の死
 次第に年貢の取り立てが厳しくなる−国家老の富安は,一揆のおそれありと殿に諫言−若山に毒酒を飲まされそうになり,からくも盃を持ち帰る−国のため,お不二は若山殺害を決意し,父や秋姫に暇乞い−和歌の添削にかこつけ,若宮を刺したが,その場で取り押さえられる−江戸から飯田へ送られ吟味を受ける−刺し傷がもとで若山は死に,殿は不二に死罪を命じる−順道が差し向けた丹蔵らが,飯田へ戻る富安を熊谷土手で襲うが,失敗−自害した小沢が生き別れた娘だと知り,順道は改心,富安へ真実を伝える−富安から事情を聞いた殿の目がさめ,不二の赦免を命じる−赦免を伝える早馬は間に合わず,不二はあえなく刑死−富安,毒盃と順道を証拠に,塚原を追い詰める
お不二の墓

 はなしの足あと
 江戸下屋敷での花見の宴.熊谷堤での富安の闇討ち.若山を刺したお不二は飯田の牢に入れられる.

 はなしの人びと
秋姫 あきひめ 1806- 堀大和守の正妻
小沢 おざわ -1833.3.21 御殿女中.実は川瀬の娘.若山の不義を訴え自害
川瀬順道 かわせじゅんどう 医師.毒薬を提供.娘を見殺しにしてしまい改心
塚原主水 つかはらもんど 1806?-1839? 逆臣.若山と結託してお家転覆を謀る
富安主税 とみやすちから 国家老.安富主計がモデル.繰り返し殿に諫言する
不二 ふじ 1818-1839.11.4 若山を刺し,家中を騒がせた罪で死罪
堀大和守親茂 ほりやまとのかみちかしげ [1786〜1849] 飯田藩第10代藩主がモデル
山口団次 やまぐちだんじ 1789- 飯田藩奥向きを勤める武士.不二の父
若山 わかやま 1814-1839.10 豊浦三平の娘,お豊.若山として堀大和守の側室に収まり,正妻や殿を殺害計画

掲載 160828

HOME >> 圓朝作品のあらすじ >> prev 烈婦お不二 next