二階借りの逢引 |
1878年春,父花房利一は放蕩ゆえ,娘お重は26歳で未婚−財産家の巳之助は,愛宕下に住む知人の油絵師応文一雅の二階を借りてお重と密会.壁に墨で落書−お重は一雅の引き出しから勝手に手紙と指輪を発見,はめてみる−一雅の親孝行に感じ,まだ見ぬ恋−突然,巳之助の父が来訪,あわてて指輪を置き忘れる−巳之助に頼んで指輪を取り返す.巳之助は信州へ旅−一雅に会う口実に店子の神谷縫の肖像を描かせる−6月,完成のお礼に一雅を招く−一雅,お重の指輪を見て,密会を楽しんでいた女がお重と分かる.この女に金を恵まれることに立腹,お重に絶縁状−お重反論.お縫を欺き,一雅の目の前で指輪を交換する−一雅,お縫が二階借りの女だったと思い落胆.土浦の志多野へ帰郷 |
土浦郊外常名 |
どこで撲たれても苦情申さず |
お縫を預かる元御用達の神谷幸治,一雅が書いたお縫への絶縁状を見て詰問−お縫の釈明を聞き,一雅を土浦から呼び出し,花房家で談判−神谷,花房へ説教.お重詫びる−巳之助の父,槙木四郎兵衛の旧名高木金作を名乗る頃,神谷は3000両を貸していた−神谷,槙木と談判−槙木,偽の入金帳を見せ,残金は200両と主張−神谷,いさくさ言わず,200両もらう代わりに,場所を問わず殴れるという証書を得る−神谷,銀座で,横浜で本当に槙木を殴る |
銀座通り(江戸東京博物館) |
2組の夫婦 |
1879年,お重匿名で一雅へ作画を依頼−池上へ呼び出し,相乗り俥で帰る−送られてきた艶書を見て一雅,お重だと気づく/神幸小石川の寺に墓参.そこへお重が尼になりたいと現れる−顔を焼いて弟子となった了然尼の例をひいて断る.自殺図るところを神幸が助け,お重に書置を書かせる−書置持って槙木と談判−廃嫡になっていた巳之助を赦し,お重と添わせる.一雅もお縫と婚礼.槙木も3000円を返却 |
了然墓 |