[ 対象書籍一覧の凡例(詳細) ]
●演目関連
・分類
4つの分類項目を記号で表現した.
第1項目:採用した(無印)か採用しないか(X)
第2項目:圓朝もの(E, E2, E3),東京落語(T),上方落語(K),その他(X)
落語でないものは,この項目にXを充てた.個人集での場合を除き,この項がXであることが採用しない理由となる.
圓朝作品は,他の演者のものもE分類とした.ただし,角川書店版『三遊亭円朝全集』所載のものと,他の書目の三遊亭圓朝演のものはE,他の演者による円朝作品はE2,新聞などから補充した円朝ものは,「圓朝地名図譜」に追加するため,便宜的にE3のコードを与えた.
東京落語か,上方落語かの分類は,必ずしもこの判断が妥当とは言えないことを含んだ上で,演者名と大阪弁で書かれているか否かを基準に判断した.
第3項目:新作落語(N)
新作落語か否かの判断は,統一した演題名の調整の参考文献1),2)に従って判断した.
第4項目:内容の重複(O)
重複の判断は,作品集の順位を基準にした.上位の初出1題のみを採用し,後出の同内容の演目は重複(O)として扱った.
以上の分類の結果,「はなしの名どころ」では,以下の13分類となった.括弧内は演題数である.
T(4759),TN(872),TX(10),XTO(1106),XTNO(39),XTX(30),K(855),KN(197),XKO(266),XKNO(17),XKX(9),XX(203),XXO(17)
TX分類は,講談ネタを所載する個人集などが該当する.
「圓朝地名図譜」では,以下の9分類となった.括弧内は同じく演題数である.
E(123),E2(83),E3(21),EN(6),XEO(4),XEX(11),XE2O(8),XE2X(1),XE3O(15)
「上野下野道の記」では,XEX分類となる紀行文2編(「上野下野道の記」「下新田日記」)を別途取り上げている.
・作品コード
出版社名,個人作品の場合の演者名,書名,巻数で,各書目の略称を定め,作品の目次中の配列番号で,各作品に一意のコードを与えた.
・記載された演題
目次,本文,中扉などで異なる演題名が記載されていることがあるが,目次に記載された演題を重視した.
JISコードで表現できない漢字は,部首などJISコード漢字の組み合わせにより便宜的に形態を表現し,[]にその読みを付記した.このような表記を取ったものは,以下の4題のみである.
▽△[ちきり]伊勢屋 講明治大正2:53 "▽△が上下につながったちきりの形を示す文字".
樊口會[かい] 講明治大正6:16 "口偏に會".
宗王民[みん]の滝 弘文志ん生2:02 "王偏に民".
商法のいろいろ(八)縁日の駝士ワ石木[たく]師 圓朝中外新報:11 "士の下にワ冠,続いて石,旁は木".
・統一した演題
原則として,1)東大落語会:『増補 落語事典』,青蛙房(1981)に記載された演題名で統一した.その他,2)保田武宏:『ライブラリー落語事典
東京編』,弘文出版(1982),3)今村信雄:『落語事典』,青蛙房(1957),4)海賀変哲:『落語の落』,三芳屋(1914),5)相羽秋夫:『現代上方落語便利事典』,少年社(1987),6)宇井無愁:『上方落語考』,青蛙房(1965),7)著者名記載なし:『バレ噺簡易索引』,せんのところ(1994)を参考にした.
その結果,『増補 落語事典』と異なる統一した演題名を採用した作品もある(表1,2).
同一の読みを持つ演題は,()数字を付記して区別した.改作(あるいは現行と異なる演出)に類するものは,原題名にXを付記した.上下2分割した演出や,続き読みなどの作品については,原題名のあとに,",1"などの話順を表す数字を付記した.長編の抜き読み,副題に類するものは,原題名の後に"-副題名"を付記した.
話順がつく演題は「品川心中」,「おせつ徳三郎」,「宮戸川」,「子別れ」など,副題がつく演題は「三人旅」,「東の旅」など(表3a,b)
参考までに紛らわしい演題を表4にまとめた.
文献1)に掲載されてない演題で古典・新作を判断した演題,改作扱いとした演題を表5a,b,表6にそれぞれまとめた.
・記載された演者名
一部,作品集に記載された演者名を付記した.演者名は原則として書籍に記載されたままとし,その後の改名を反映していない.個人集や,著しく信頼できない演者名が記載されている昭和初期の作品集など,演者名を省略したケースが多い.
代号については,同一演者でも作品集により異なるものとなっている.諸芸懇話会・大阪芸能懇話会:『古今東西落語家事典』,平凡社(1989)を参考にしたが,特段の調整を行っていない.また,代号は○囲み数字ではなく,()数字で表した.
●作品集の配列
同一話を重複して使用するケースをデータベースから除外することを目的に,作品集に順位付けを行った.
後順位の同一話はデータベースから除外した.
順位付けの基準は,年代,作品ジャンル,重複処理の3点である.
・年代
速記年代(圓朝,明治大正,戦前,現代)の順
同一作品ジャンルの中での出版年代順
・作品ジャンル
戦前速記集,個人速記集(東京,上方),同一時代のオムニバス,時代横断的なオムニバス,その他,艶笑落語,新作落語,コミックス,少年少女向け,入門書,教育書
以上のジャンル分けに年代と重複を考慮して微調整した.
・重複
出典を明記していない場合,完全に同じ速記かどうかの判定は難しいが.内容の削除,加筆があるものは後位に落とした.
配列結果の全体像は,ジャンル別一覧のようになる.
●おススメ度
息抜きの項目.☆1〜5個と圏外の★で個人評価した.
息抜きとは言うものの,その本に対する敬意・愛着,あるいはその逆を示しております.