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[ 参考文献 ]

●落語事典:演題名の統一のために

・東大落語会(1981):増補 落語事典,8版,青蛙房,pp.612
 古典作品のみを対象としている.初版は1967年.その後,小噺を中心に大幅に増補される.演題名は原則として本書にあるものとした.現在滅んでしまった噺を含め,よくこれだけの演題を収録できたと驚嘆する.類書が刊行されているが,これが決定版といえる.


・海賀変哲(1914):落語の落,三芳屋,pp.529
 最初に出版された落語事典.「文藝倶楽部」へ連載したもの.当時の落語観を見る上で貴重.いろは順索引が付くが,演題の配列に一貫性がない.1997年『新編 落語の落』2巻として東洋文庫から復刊したので,高い銭を払わなくても入手できるようになった.編者の判断で,1題(三人不具)が削除されている.差別的な噺のため,現在は演じられることはないだろうが,本書の資料性を減じてしまった.

・今村信雄(1957):落語事典,青蛙房,pp.349
 落語速記の大家による落語事典.東大落語会版と比較するとさすがに見劣りがする.一部,新作も含まれている.

・宇井無愁(1965):上方落語考,青蛙房,pp.512
 上方落語の演題一覧が付く.失われた落語については,演題だけからは内容が想像できない.とにかく,滅びつつあった上方落語の資産はこんなに豊かだったことがわかる.

・前田勇(1976):上方演芸辞典,東京堂出版,pp.724
 演題一覧の形ではないが,上方落語の演題についての項目も多い.

・保田武宏(1982):ライブラリー落語事典 東京編,弘文出版,pp.579
 昭和期に出版,発売された東京落語に関する書籍,レコードの演題別目録.対象とする範囲が「はなしの名どころ」に近い.資料の少ない上方落語編を見てみたいものだ.戦中・戦前のものは,時局に対応した新作,改作が多く,慰問袋用の袖珍版などの全容についても知り得ないため,「はなしの名どころ」データベースの対象としなかった.

・相羽秋夫(1987):現代上方落語便利事典,少年社,pp.437
 古典,新作を問わず出版当時の上方落語の全貌をまとめた快著.あらすじ,舞台,登場人物までまとめられており,そのものズバリの写真も掲載.とても凡人のまねできるものではない.宇井氏の著作との対比で上方落語の何が滅んでしまったか,新作がいかに隆盛であるかがわかる.

・著者名なし(1994):バレ噺簡易索引,せんの所,pp.71
 落語事典から漏れている艶笑落語・小噺について,現行音源から系統的にまとめられている.事典にない艶笑落語・小噺については,これを基準とした.


●先行著作・参考書:類書はもう出さないでね

・北村一夫(1978):落語地名事典,社会思想社
  人名事典などとともに教養文庫から発刊された落語地名事典.対象とした速記は,比較的入手しやすい物となぜか西沢道書舗となっている.東京特別区が中心で,地方はおまけ程度でしかない.

・北村一夫(1985):江戸芸能・落語地名辞典 上下,六興出版
  前著の刊行後に出版された『明治大正落語集成』を取り込んだため,大幅に対象件数が増え,東京落語地名はほとんど網羅された.本書では地方は扱わず,東京特別区に限定されている.解説も充実しており,東京落語地名事典の決定版といえる.「はなしの名どころ」は,対象話数では勝っているが,解説は足下にも及ばない.主要なポイントは既にすべてこの本に解説されており,これ以上類書を出すことは屋上屋を重ねるに過ぎない.もっとも誰も買わないかもしれないが.

 以下は落語散歩に類する書籍.東京落語地名を歩くたぐいの本は,繰り返し出版されている.中では桂米朝師の著作が出色.保田武宏氏の二冊は,地方を舞台とする主な落語を取り上げている.面白おかしい本ならばもはや不要.
 2006年に圓朝主要作品の言葉を味わい,その舞台を訪ねる本が出版された.

・矢野誠一(1967):落語遊歩道,協同企画出版
・三代目三遊亭金馬・四代目三遊亭金馬(1976):落語東京名所図絵,講談社
・保田武宏(1976):東海道落語の旅,こずえ
 保田武宏(1977):中山道落語の旅,こずえ
・桂米朝(1981):米朝ばなし 上方落語地図,毎日新聞社
・桂米之助(1983):落語漫歩大阪ぶらり,夏の書房
・佐藤光房(1988):東京落語地図,朝日新聞社
 佐藤光房(1990):続 東京落語地図,朝日新聞社
・旅の文化研究所(1995):落語にみる日本の旅文化,河出書房新社
・吉田章一(1997):東京落語散歩,青蛙房
・池内紀(1999):はなしの名人 東京落語地誌,角川書店
・森まゆみ(2006):円朝ざんまい,平凡社

 他のジャンルの地名事典・写真集も参考になった.
 能,謡曲については,真摯かつ精力的な活動が行われている.青森の善知鳥神社,鏡が池,青墓,野間などなど,どんな謡跡にも謡曲史跡保存会が駒札を立てている.写真集も"医学書"の中山書店から決定版が出版されている.謡曲の世界の全貌がちゃんと見えてくる.著者の実踏たるや野を分け山を渉りと超人的! そこへ行くとこちらは,鉄道駅の写真などでお茶を濁して恥ずかしい次第.
 歌舞伎・芝居はやはり東京中心.そこで戸板康二の3冊をあげる.
 講談,浪曲は地名が頻出するのに地名事典.地名散歩はないといってもよい.もっとも,講談界で急務なのは演目事典の整備・普及でしょう.演目と梗概がまとまっている本が簡単に手にはいると,自分を含め講談への理解が広がると思うのに.吉沢英明氏,当代南陵先生が非常に精力的だが,一般読者向けではない.そうそう,先代馬琴先生が一公塾から7冊物の紀行を出版していました.

・木本誠二(1983):謡曲ゆかりの古蹟大成,5巻,中山書房
・京都新聞社(1990):能百番を歩く,京都新聞社
・戸板康二(1953):芝居名所一幕見 舞台の上の東京,白水社
 戸板康二(1958):芝居名所一幕見 諸国編,白水社
 戸板康二(1973):京洛舞台風土記,駸々堂
・一龍斎貞心(1986):講釈師江戸史跡めぐり,稜北出版
・川柳江戸名所図会,至文堂(1980)
・平山健(1988):小唄江戸散歩,立風書房


●参考文献:無駄にたくさんあげてもね〜

 落語家に関して
・諸芸懇話会・大阪芸能懇話会(1989):古今東西落語家事典,平凡社
 地図に関して
・東京都教育庁(1989):江戸復元図,東京都情報公開室
・中川惠司(2004):江戸明治東京重ね地図,エーピーピー・カンパニー
 速記情報に関して
・旭堂南陵(1994,2000,2011):明治期大阪の演芸速記本基礎研究 (正)続・続々,たる出版
・吉沢英明(1994):講談・落語等掲載所蔵雑誌目次集覧−大正期−,私刊
・吉沢英明(1995):講談明治期速記本集覧 付落語・浪花節,私刊
・吉田章一(2008):江戸落語便利帳,青蛙房
 など

 肝心の地名と実踏に関しては,平凡社,角川書店の地名事典,各種地図・切絵図はもとより,ネットでの情報が非常に役に立った.初めての土地を限られた時間で回る上で,事前にバス路線や時刻がわかるなどは望外のことであった.このサイトを作る動機には,同好の方々へなにがしかでも還元したいということがあった.