法論石と四代目圓生
 
 法論石
 山梨県南巨摩郡増穂町小室,懸腰寺に安置.日蓮聖人と土地の法印との間で法論が起きた際,空中に石を留めたという故事に基づく.同じく,犬が身代わりになって食べた饅頭の毒を護符で消して見せたという小室山はさらに奥にあたる.
 落語「鰍沢」の主人公は,法論石を参拝し,小室山で毒消しの護符を受けた後,雪の中を身延山に向かう.しかし,雪道に迷い,偶然,吉原の遊女だった月の輪のお熊の茅屋に宿を借りる.路銀目当てのお熊により毒入りの卵酒を飲まされるが,小室山の護符のおかげで一命をとりとめる.
 四代目 三遊亭圓生(弘化3〜1904)
 本名 立岩勝次郎.三遊亭圓朝の高弟.師も一目置くほどの名人だったという.圓生を継いだのは1882年頃.三遊派の総帥である圓生の名跡は孫弟子にあたる五代目(村田源治.いわゆるデブの圓生)から,六代目(山崎松尾,五代目の養子)へと受け継がれた.
 法論石のお堂の扉が閉まっていたため,たまたま床下にもぐったところ,墨だけになった四代目の千社札と遭遇.1998年,鰍沢さながらの大雪の日のことであった.