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崇徳院
 ぐるぐるぐるぐる −すとくいん−

 上方種の古典落語.崇徳院の和歌が出てくるから「崇徳院」とは,東京落語のタイトルのつけかたのよう.今は東京でも「崇徳院」のタイトルで演じられているが,「皿屋」というのが東京オリジナルの噺という.柳家金語楼の「皿屋」を読んでみたが,どちらも同じ噺だった.
 大あらすじ
 高津神社で良家の娘さんに一目惚れした若旦那.出入りの熊五郎がこの娘さんを探しに大阪の町中を探し回る.娘の書いた崇徳院の歌が結びの神となり,とうとう娘さんの家を突きとめる.

 こぼれ話
 若い2人が和歌を縁に恋わずらいに落ち,和歌を縁に結ばれるという,ほのぼのとハッピーな噺.
 発端は高津神社の絵馬堂の茶店.残念ながら,見晴らしのいい絵馬堂はあるが,茶店はありません.持参のお茶でがまんしましょう.写真のように「高津の富」をモチーフにした額が飾られています.よく見ると絵馬堂には若い男女がいるように見えます.
 娘さんが落とした緋塩瀬の茶袱紗を船場育ちのウブな若旦那が拾ってあげたのが出会いのきっかけです.崇徳院の歌の上の句だけ書いた書きつけを娘さんから渡された若旦那,娘さんの家も聞けずに家に戻ると,恋わずらいでどっと寝ついてしまいます.若旦那の命はあと数日という見たて.

高津神社絵馬堂
 恋わずらいのことをやっと聞き出したのが,若旦那の幼なじみの熊五郎.それを聞いた旦那さん,熊五郎に娘さんの居所を探させようと頼みます.お礼は大金と借家の権利.一気に大家さんです.熊五郎,大阪の町中をぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐる探しますが,手がかりがありません.
 それを聞いた熊五郎のおかみさんが泣かせます.どうせウチらは貧乏者,縁がないとあきらめましょう.
 ところが,熊さんが黙ぁって大阪中を歩き回ったと知った時,おかみさんの形相が一変します.床屋や銭湯に寄って,崇徳院のお歌を歌って聞いて回らんかいな!探し当てるまで帰ることはなりまへんでっ!
 熊さん,首に飯櫃,腰に沢庵とワラジをぶら下げ,決死の覚悟で,床屋に駆け込みます.瀬を早み〜〜〜.

料紙を持て
 何十軒の床屋に銭湯を回ったでしょう.もう,剃るところなどどこもありません。顔は真っ赤でひりひりです.
 最後の床屋で待っていると,飛び込んできた威勢のいい男.「うちのお店の娘さんが恋わずらい.相手の若旦那を東西南北手分けして探しに出発や.かわいそうなんは徳さん,北も北,カムチャッカやで.わたいはこれから,和歌山越えて,わからなんだら紀州熊野のクジラに聞いてこい!とのお達し.娘さんが若旦那に渡したのが,なんでも崇徳院のお歌,たしか,瀬を早み……」
 熊さん,むっくと立ち上がり,こいつや〜〜〜!
 崇徳院のお歌が縁で一組の夫婦ができあがります.

熊野の浦 鯨見張り台
 東京では,こっちに先に来い,いやこっちが先だと床屋で熊五郎と男がつかみあい.床屋の鏡を割ってしまいます.大丈夫,割れても末に買わんとぞ思う.がサゲ.
 あら,地口落ちですか.

西洋床(明治村)
 はなしの足あと
 東を探せ:大阪→京都→名古屋→浜松→静岡→横浜→東京
 西を探せ:大阪→神戸→姫路→岡山→広島→下関→九州→四国
 南を探せ:大阪→和歌山→熊野の浦→太平洋
 北を探せ:大阪→カムチャッカ

掲載 090925

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