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南極探検   
 未知なる大陸 −なんきょくたんけん−

 春風亭柳昇作の新作というか「弥次郎」の改作.ご隠居を相手に南極探検の体験談を語る.柳昇師の飄々とした語り口は実に楽しかった.立川談志がアレンジした速記も出ている.
 大あらすじ
 未知なる大陸,南極への探検に赴いた男の冒険談.

 こぼれ話
南極越冬演芸員募集について

 下記の要領により南極越冬演芸員を募集する。
    記
一 人数 1名、性別 男性
二 期間 昭和64年11月より昭和66年3月まで
三 優秀なる技芸を以て隊員を慰撫ないし鼓舞する能力を有すること
四 長期厳寒に耐える体力を有し、かつ健康であること
五 現地までの交通費及び滞在費は規定に基づき支給する
 なお、応募人数多数の場合、公正なる審査をもって選考を行う。


昭和基地
 あ〜あ.何でオレが南極に行かなきゃならないんだよ.そりゃ,オレは寒風亭流氷なんて芸名だし,芸もお寒いんだけどさあ.1年も寄席に出なきゃ,すっかり忘れられちゃうよ.交通費支給ったって,お台場から宗谷にのって行くんだから,バス代だけじゃないか.滞在費だって芸人は一番ランクが下だってさ.バカにしてやンの.
 係の人が「まあ,昼間は遊んでいて下さい」って言ってたが,なんだよ,冬は一日中夜だから遊ぶ暇がないじゃん.また,隊員がみんな退屈なんだね.落語やれやれってうるさいのなんの.まあ,ウケたからいいけど.みんな交代でバーテンやったり,温泉なんかつかっちゃってさー,オレが一番働いたんじゃないかって言いたいよ……



砕氷船宗谷
 ご隠居さん!世界で初めて南極を制覇した落語家,寒風亭流氷ただいま戻ってまいりました.
 いやー,行きましたよ南極点.あそこへタロジロなんていう犬ぞりをザーッと連ねて行くわけですよ.一日じゃ着きませんからね,途中でシロクマやなんかドーンってライフルで撃ったり何かして,なんか出るとやばいってんでペギミンか何か用意しちゃったりして,途中にでっかい空洞なんかあったりして,ああそれ見ちゃいけねえ!何て言われて.ああ,言っちゃったよ.まずかったかな.
 そんでもって南極点に着きましたよ.台があって各国の旗が立ってるんですね.他の旗をちょいちょいって抜いてニッポンの旗を真ん中にさしました.さすっていえば,磁石もどっち指していいかわかんないらしく,ぐるぐる回ったりして,やっぱり変ですねえ,南極ってえのは.回るっていえば,南極点の回りをぐるっと回るってえと,時差のせいで時計がおかしくなっちゃうんですよ.今何時だー.夜の9時だぁ,昼の3時だぁって.逆回りして日付変更線を越えたら,どんどん日が戻っちゃうんですよ.お前今15日?オレは10日.なんだい,出発した日より前じゃねえか.基地に戻ったらオレが待っていたりしたらどうしよう.なんて,「粗忽長屋」みたいになっちまって,そりゃあ大騒ぎでしたよ,ご隠居さん.


頼むぞ南極犬
 はなしの足あと
 道中付け:南極→比企郡→津軽海峡→四国→九州→沖縄→太平洋→シンガポール→インド洋 (春風亭柳昇による)
 道中付け:南極→北極→ハワイ→韓国→札幌→鹿児島→横浜→中華街→氷川丸→ブルースカイ→三崎→焼津→御前崎→九州→奄美群島→沖縄→東シナ海→南シナ海→台湾→台北→新高山→高雄→フィリピン→バンコク→インド洋→印度→熱海→湯河原→マーシャル群島→セレベス→ボルネオ→タヒチ→南鳥島→ケープタウン→ホーン岬→ロシア (立川談志(5)による)

「弥次郎」:北海道ではおはようが凍るとか,火事が凍るとか,好きなことを隠居に言う弥次郎.恐山では山賊退治をしてほっとする間もなく,大イノシシが出てきて大格闘.

「粗忽長屋」:粗忽者の八五郎が浅草寺で行き倒れを見かける.倒れているのは自分の隣人の熊五郎だと,本人を連れてきて行き倒れに引き合わせる.熊五郎も本気になって,死体を抱き上げる.抱かれているのは確かにオレだが,抱いているオレはいったい誰だ?

掲載 101128

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