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大阪名所夫婦喧嘩   
お腹いっぱい −ふうふげんか−

 明治28年,林家菊丸作の上方落語.「上方はなし」に,桂米輔の名前で速記が載っている.夫婦喧嘩の文句の中に大阪の名所が150ヶ所以上織り込まれている.


 大あらすじ
 散財を繰り返す亭主にくってかかるおかみさん.旦那も負けじと言い返す.その文句がことごとく地名を織り込んでいる.

 こぼれ話
 「大阪名所四季の夢」と対になるような噺.どちらも「上方はなし」に速記が残っている.四季の夢は,大阪の名所を見ながら,うまいものを食おうとあちこちを散策する噺.五目(ほこりたたき)という形式で次々と名所を連ねていくだけでなく,歩いていく先々で季節の花や年中行事に出会っていく.歩いてゆくうちに季節がどんどんと移っていくところがミソ.花見の名所や名店,神社仏閣の行事でさえ,今は失われてしまったものが多い.改めて見てみると,自分が花ざかりの大阪,古き良き大阪を何も見て来なかったことに気づいた.

造幣局通り抜け
 「夫婦喧嘩」の方は,地名を地口に織り込んでいるのが聞きどころ.どちらの噺も下の表をながめているだけで,食べなくてもお腹いっぱいになってくる.
 例えば,「座摩見い,人が御堂三度いうて聞かせても本町橋,博物ブッとぼやきやがって,サアここへ来て平野町堺卯さんになって,両手をついて御霊けんとあやまらなんだら文楽るぞ」.ちゃんと歩いていける順に,実にうまいこともじっている."博物ブッ"は"ぶつぶつ"で本町橋東詰め奉行所跡にできた博物場,堺卯は最近まで営業していた大阪を代表する料亭,文楽は御霊神社境内にあった文楽座のこと.

堺卯
 1つ1つ書いていてはキリがない.「自分勝手なことを郵便局.高倉稲荷さんに化かされてこんな家に高津さんならよかった,三下り半のひま状書いとくれ,お前のような人と添うてたら末の黒焼屋が絶えぬ」.三下り半は高津神社の西坂の形状からついたもの.夫婦離縁につながるとされた.改修されて写真のような感じ.黒焼屋は高津神社西にあった店で,なかでも「いもりの黒焼」は媚薬として有名.大阪中をめぐった果てには,築港建設で浪花の繁昌をお祝いしてお開き.

 今ならどんな風になるのだろう. −このグリコでスタバーはり重すぞと観覧になって大たこ出ツタヤ,道頓カニして下さいと松竹なって謝るずぼらやな奴め,角座にくいだおれしてぼて重という目に会わしたる− てな具合か.
 こういう拵えた文句は近ごろまったく流行りでない.


三下り半の坂
 はなしの足あと
 登場する地名:淀川→上水源池→桜之宮→岩国屋→大長寺→紙治の墓→片町→京橋→馬場→陸軍→玉造→稲荷の神社→新馬場→猫間川→産湯→三光→真田山→呑酒楼→桃山→森之宮→寅の屋→花月→お城→生玉→愛染→庚申堂→一心寺→天王寺→猫の門→石薬師→引導鐘→聖徳太子→清水→天神山→合邦ヶ辻→閻魔→今宮→恵美須さん→広田→お蔵→毘沙門天→日本の橋通り→名呉町→千日前→法善寺→新金比羅さん→坂町天神さん→自安寺→御午→九良右衛門町→仲筋→芝居裏→相合町→馬場先→溝の側→演舞場→南海ステンショ→赤手拭→木津よい大黒さん→開山達磨大師→お多福茶屋→一方→深里→櫓町→浪花座→中座→角座→朝日座→弁天座→二ツ井戸→津の清→郵便局→高倉稲荷→高津さん→三下り半→黒焼屋→塩焼屋→吉助→島之内→安井の稲荷→住友→八幡筋→三ツ寺筋→四ツ橋→順慶町→憲兵屯所→稲荷座→座摩→御堂→本町橋→博物→平野町→堺卯→御霊→文楽→道修町→三井→電信局→高麗橋→今橋→鴻の池→築地→北浜→中之嶋→太閤→公園地→淀屋橋→大江橋→ホテル→公会堂→図書館→白玉稲荷→難波橋→若松町→控訴院→市場→天神橋→八軒家→淀川蒸気→樋の口→天満橋→造幣局→天満宮→霊府神→妙見→夫婦池→監獄→北野→大融寺→九階→朝妻→車茶屋→かしく寺→北の新地→お初天神→裏町→梅田→ステンション→堂島→ざこば→靭→瀬戸物町→解船町→願教寺→新町橋→九軒→鰹座→善光寺→阿弥陀池→木津川→江の子嶋→府庁→越中橋→区裁判→福島→羅漢→逆櫓の松→野田→影藤→新堀→安治川口→居留地→異人舘→波止場→茨住吉→九条→甚兵の小屋→尻無し→天保山→築港 (夫婦喧嘩)

 登場する地名:梅屋敷(梅)→新梅屋敷→産湯の稲荷さん(桃)→紅葉寺(紅葉)→天王寺の東門(彼岸)→聖徳太子様→引導鐘→亀の池→宵庚申→茶臼山→雲水で普茶→聖天山(桜)→千成亭→阿部野街道→吾孫子の観音さん(節分年越)→住吉(御田)→四社→石の鳥居→堺の大浜(夜市)→川芳→芳海楼→一力→木津川の千本松(月見)→明石屋→天保山→尻無川→甚兵衛の小屋(櫨)→雑魚場(初市)→安治川橋→逆艪の松→野田の影藤→三番の萩→十三の杜鵑花→浦江の聖天さん(杜若)→大融寺→藤浪亭→十丁目筋→天満の天神さん(初天神)→鶴満寺(枝垂桜)→樋の口(桜)→源八の渡し→桜の宮→造幣局→岩田屋→網彦→鮒宇→網嶋の大長寺→紙治小春の墓→片町→猫間川(夕涼み)→野崎の観音さん(春)→京橋→馬場(初午)→八軒家→天神橋(天神祭)→松屋町→高津の表門→梅ヶ辻(菊)→生国魂神社(流鏑馬)→隆専寺(枝垂桜)→湯豆腐屋→高津の舞台(雪)→三下り半の坂→鳥居市兵衛→吉助(牡丹)→二ツ井戸→道頓堀→角の芝居→中の芝居(顔見世)→浪花座→法善寺の金毘羅さん(祭)→中筋→橋筋→十日戎→縫忠→木津の大黒さん(甲子祭)→渡辺の太鼓→難波(綱引き)→赤手拭の稲荷さん→幸橋→高台橋→堀江(植木市)→阿弥陀池→宇和島橋→新町→塀の側→九軒(夜桜)→新町橋→地蔵祭→瀬戸物町→船場→御霊祭→座摩祭→博労町→南の御堂さん→北の御堂さん→小橋屋→佐野屋橋(誓文払い) (四季の夢)

掲載 091017/最終更新 100507

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