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田楽喰い   
日本一の繁華街− −でんがくくい−

 気のあった仲間が寄り合って酒を飲む「寄合酒」と呼ばれる噺の一部.みんなで肴を持ち合う演出もあるが,「田楽喰い」では兄貴分に座敷や酒肴まで世話になる.縁起のいい"ん"のつく言葉を順にいう趣向から,「運回し」ともいう.桂米朝(3)の演出を参考にした.

 大あらすじ
 兄貴分のところで酒をごちそうになる仲間たち.順に"ん"のつくフレーズを言って,"ん"の数だけ酒の肴の味噌田楽を食べられる趣向を始める.

 こぼれ話
 兄貴に酒をごちそうになる口実に,用意した一升瓶を途中で割ったと言い訳します.いったいどこで割ったんだと聞かれて,あわてて答えるのが,日本橋一丁目,上本町六丁目,天王寺の西門,霞町の恵美須の4ヶ所.地図にするとちょうど四角くなっています.ちゃんと考えて創ったんですね...
 日本橋の一丁目は,大阪ミナミの繁華街.日本一(にっぽんいち)のゴロも良く,南には大阪一の電気街が広がっています.上本町六丁目は上六(うえろく)と略され,長らく近鉄列車の奈良方面の始発駅でした.
 霞町の恵美須には,車庫があり,各方面の市電が集まってきました.跡地は若者に人気のアミューズメントパーク,フェスティバルゲートに生まれ変わっています.天王寺の西門は寺の表口.参詣人だけでなく,かつては傷病者や乞食が救いを求めて集まっていました.「菜刀息子」にその様子が描かれています.

上六
 「次の御用日」には,反対に大阪の寂しい場所があげられています.その中の一つ,本町の曲がりは,南北に流れる東横堀が屈曲しているところ.「商売根問」で川面に尻を突きだし,肛門をエサにカッパを釣ろうとしますが,通る人に笑われ,冷えで病気になってしまいます.住友さんの浜では,商家のお嬢さんが大男にアッという大声で脅かされます.これが「次の御用日」の発端です.あとの場所は,蔵屋敷などが建ち並ぶ川端などなんでしょう.いかにも人通りがなさそうな場所ばかりですね.
 大阪で今寂しいところというと,大阪城の南,難波宮の発掘跡を思い出します.広い空き地に土壇のようなものが点在するばかりで,人影が全くありませんでした.そうそう,もう一ヶ所,新世界の南に遊園地があって,一度通り抜けた事があるんですが,人がいるべきところに誰もいないって言うのは何だか不気味でした.ユル・ブリンナー扮するロボットが出てきそうな遊園地の名前は,ウエストワールドじゃなく,確かフェステ(略).


難波宮あと
 はなしの足あと
 賑やかなところ:日本一,南,上本町,上六,天王寺の西門,霞町の恵美須 (桂米朝(3)による)

 淋しいところ:本町の曲り,住友さんの浜,加賀の屋敷の裏手,薩摩堀願教寺,江戸堀四丁目七ツ蔵,中之島蛸の松 (次の御用日.笑福亭松鶴(5)による)

掲載 101128

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