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阿弥陀池   
強盗殺人・死体損壊罪 −あみだいけ−

 桂文屋作の明治の新作落語.初演の時は最初の和光寺の件で終わりと勘違いされ,サゲ拍子が入ったという.初代桂春團治が得意にしていた.


 大あらすじ
 新聞を読まない男に,新聞に載ったニュースだと言って,近所の事件をまことしやかに説明する.感心した男は,調子に乗っておうむ返しで別の人を欺そうとするが.

 こぼれ話
●昨晩、市内西の辻の米屋へ強盗が入り、店員の平民米田芳松(二三)が死体で発見されり。店内には激しく争ひし形跡があり、犯人は芳松を刺し殺しし上、首を切り落して、米屋の糠桶の中に隠すといふ残忍極まる仕儀に及びたり。警察は、強盗殺人、死体損壊の凶悪事件として町内に非常線を張り鋭意捜索中といふ。なほ、その三日前にも、深更和光寺にピストル強盗が忍び込みし事件ありき。本件は、幸ひにも尼僧の落ち着きたる説得の甲斐ありて未遂に終はりしよし。昨今はうどんの値上げなど暗いニウスが多く、日露戦争戦勝に浮かれをるばかりではなるまじ (浪華新聞)

新聞を読もう
 というのは,新聞を読まない男を担いだもの.初めの話はきかないはず,糠に首.後の話は誰の指図かというと,阿弥陀がいけと言いました.というニワカ.これは面白いと,他の人に伝えたくなるのが大阪人.これを東京へ移し,「新聞記事」という題にして演じられるが,ちょっといただけない.
 阿弥陀池は,大阪西区の和光寺境内にある.「御神酒徳利」で守屋の大臣が仏体を埋めたとされるのが阿弥陀池.これを見つけた本田善光が,仏体を懐中して,信州に善光寺を建立するのが,「お血脈」のマクラになる.

阿弥陀池
 米屋の芳やん,なまじ腕に覚えがあったのがいけなかった.突き出された出刃包丁をぱっと体をかわしたまではよかったが,よく言うように,生麩は焼き麩のもと,生瓢箪は青瓢箪のもと,ムギ焼酎はクマ焼酎のもと,隠し持った匕首で胸を一突き,哀れにも刺し殺されてしまった.
 体だって簡単にはかわさせてくれない.カレイをかわし,タチウオをかわし,シャケをかわしとだんだんタイに近づいてくるが,そっから西宮の戎さんにジャンプしてしまう.さすがにエビスさんはかわせない.写真の戎像を拡大して見てほしい.その手の先には,釣り竿,その先にはテグス,その先には針,その先にはエサ,もうちょっと.小脇に抱えた鯛が見えたっ.タイをかわして,神像心臓.

恵比寿神像

掲載 091211

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