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明石飛脚   
一本取られた −あかしびきゃく−

 大阪種.大阪から明石に手紙を届けるというだけの小品.これだけでは短いので,雪隠飛脚,うわばみ飛脚と3本の小噺をつなげて1席にしている.桂米朝(3)の演ずる地名を図にした.

 大あらすじ
 大阪から明石まで手紙の配達を頼まれた足自慢.いくら走っても明石に近づかず,とうとうへたり込んでしまう.

 こぼれ話
 大阪から明石までは十五里と教わって,男が明石まで手紙を預かる.足自慢の男ならば6時間ぐらいで着くのだろう.けれども,いくら走っても,日暮れが迫るばかりで,明石には近づかない.西宮までで20km,三宮で35km,兵庫で42km,須磨で48km,舞子は55km,明石は目の前まで来ているはず.それなのにどこで尋ねても"大阪から明石までは十五里"と言われる.初めて聞いたときは,どうして明石に近づかないのか,ちっともわからなかった.答える人がみんな意地悪をしているのかと勘ぐった.
 西宮や兵庫の人が大阪から明石までの距離をそらんじているとはちょっと変だが,たしかに大阪からの距離を聞く方が悪い.


西宮戎前
 東京では,「使ひ小僧」というタイトルで古今亭錦生(古今亭志ん馬)がSPを吹き込んでおり,速記になっている.こちらは東京から横浜の野毛まで手紙を届けるという演出だった.横浜までは30kmと明石よりやや近い.しかし,江戸時代の明石はともかく、明治の野毛ならば横浜まで鉄道で行けばよかったのに.
 日の暮れ方,明石の人丸さんの境内に夢中で駆け込んだ男は,そこの茶店でへたり込んでしまう.人丸神社は明石市街の北東の高台に鎮座する.その名前の通り,和歌の神,柿本人麻呂を祀る."火止まる"の音にかけて火防の神社として知られている.
 社殿のそばに,本当に茶店があったのがうれしい.私もここで一息入れさせてもらった.今も残っているだろうか.人丸神社は「明石飛脚」だけでなく,「播州巡り」にも出てくる.喜六清八が見て歩いた八房の梅などが,ちゃんと境内にある.


人丸さんの茶店
 はなしの足あと
 道中付け:大阪→西宮→西宮戎神社→三の宮→兵庫→須磨→舞子→人丸さん→明石

掲載 100130

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